無料で楽譜を入手する
インターネットで、フリーのソフトウエアを入手するのは普通に誰でも行っていることであるが、今さらながらに書くと、楽譜もフリーで入手できる。著作権が切れているものに限られているが、そうなるとベートーヴェンについては、ほぼ全ての曲でフリーな楽譜が入手可能となる。こんなうまい話は無い。
とにかく、サイトをご紹介しておく。
こちら
http://imslp.org/wiki/Category:Beethoven,_Ludwig_van
多くは、出版済みの楽譜のスキャンによるPDF文書であるが、曲によっては初版本や直筆楽譜のコピー、さらにはピアノ等への編曲版までが掲載されている場合もある。交響曲と一部序曲では、音符そのものがきれいにPDFのフォント化されたものもあり、すばらしい出来だ(誤植がまれにあるのが難点)。もっとも、最近の校訂版などは掲載されておらず、いわゆるブライトコプフ&ヘンテルの旧全集版とか、そのあたりの権利上問題が無い版に限られている。研究に使うならまだしも、鑑賞やちょっとした演奏に使うなら全く問題の無いレベルだ。こんなありがたいものがあるなんて…、まあ、そこそこ知ってはいたが、今後は自分でスキャンしないで、これらを利用しようと思う。
手書きの交響曲第6番 冒頭
第一バイオリンが一番上になっている。当時は、順序が違っていたのだ。
こういった手書きのものは解像度が低いので少々がっかりである。
初版の同じ部分
楽器の並びが現代のものと異なるところが面白い。ホルンが一番上になっている。これは、出版社が決めているのか?
完全デジタル化されたPDF版(部分)
デジタル化されているなら、もう楽譜屋で買わなくてもいいじゃないか、と思うかもしれないが、そうもいかない。実際に曲を聴きながら見る場合には手頃な大きさで印刷されているほうが都合がいいので、印刷する手間や費用を考えたら製本されたものを購入したほうが安くあがる。付加価値として、曲の構造についての解説が掲載されている場合は、大変ありがたい。また、版を重ねるに従い、誤植が減る。
このようにフリーでダウンロードできるのは著作権の有効期限にからむ問題によるが、その期限を50年から70年に延長する、という動きがある。とりあえずベートーヴェンは関係ない(*)。安心して全部ダウンロードしておこう。楽譜の読み方についての講義はしないが、あまり欲張らずに大好きな曲をいくつか、何度も繰り返して見てみることをお勧めする。なんとか「面白い」と感じるレベルで読めるようになるには、数年かかるだろうが、楽しいことではないか。この「楽譜読み」には終りが無い。これでもかと思うほど読んだつもりでも、もう一度見るとまた何か新しい発見があるのだ。それが名曲なのだ。
* それに関係する作曲家の作品は、お早めに!
(2010.1.4)