1. ベートーヴェン勝手解説大全集 >
  2.  
  3. メニュー >
  4.  
  5. さよなら Windows XP (にするのか) さもなくば…

さよなら Windows XP (にするのか) さもなくば…


■WindowsXPサポート打ち切りまであと1年

私の居住する地域の学校に、コンピュータ室がある。パソコンが40台ほど並んでいた。3年前に見たが、おそらくWindows XP(*1)であろう。で、来年の2014年4月にMicrosoft社のサポートが打ち切りとなる。

 *1 部屋に入ったことはあるが、OSまでは確認しなかった。

 間違えてはいけないので書いておく。

 2014年4月9日、Windows XPが使えなくなるわけではない。インストールができなくなるわけでもない。かいつまんで言うとMicrosoftが積極的なサポートをしてくれなくなる。つまり「新しい問題が発生しても、直してくれない」ということである(*2)。

 *2 新しいかどうかは Microsoft社の基準なので、ただ単に自分にとって初めてであってもMicrosoft社にとって新しいわけではない場合、せいぜい「サポートは打ち切られましたが、Webにありますので、そちらを見てください」で会話は終了になるだろう。というか、電話とかしたことが無いのでどう言うかわからないのだが。

 そう言われると、今までMicrosoft社(や他の会社)に積極的なサポートを頼んだ人がいるのか、ということになるが、個人ではおそらくほとんどいないだろう。
 もちろん、今後も、特に問題無い限り、過去の情報や修正用モジュールはサイトにそのまま残っているはずだ。私のような心配性の人は、修正用モジュールを事前に全てダウンロードしておくことをお勧めしたい(*3)。

 *3 Microsoft Update のAgentに修正が加わった場合、古いWindowsではアクセスできなくなる可能性がある。無論、Update のAgentの修正を適用すれば問題ないはずだが、いつまで可能かはわからない。

 で、今後はどうなるのかというと、「Microsoftが積極的なサポートをしてくれない」ということから考えられる通り、自分がOSのサポートにあまり関心が無い人は、Windows XPから他のOSに乗り換えるしかない。逆に、OSのサポートに関心がある人は、Windows XPで頑張り続けることができる。
 OSを買ってから、一度もサポート用に金銭を支払ったことが無い人は、きっと、これからも何もしなくても使えるから、ちょっと頑張ればいいだけだと思うかもしれない。

 そう、あくまでも古いOSで「頑張り続けることができる!」のであって、やってみて力尽きて燃え尽きて「白い灰になってしまう」か、実際に効果があるほど出来るかどうかは別問題である。その頑張りは、ちょっとしたものではない。

■WindowsXPから他のOSに乗り換えるしかない。

 ということで一般的な大多数の人はOSを乗り換えるしかないのだが、どんなOSにでも乗り換えればいいかというと、それも問題である。Windows XPのサポートがどんなものであり、これまでどう自分に関わってきたかが自分で説明できない人(*4)は、Windowsの最新版に乗り換えるしかない(*5)(*6)。

 *4 これが仕事で使っている人なら、正直パソコンを買うなよと言いたいくらいである。
 *5 大切なデータをどう載せ替えようかとか、新しいOfficeソフトその他はどう使うのか、という諸問題には、あえて言及しない。
 *6 あえてAppleのMacという選択肢には、文章上面倒なので言及しない。

 こう断言されるのを読んで、俺はMicrosoft社に囲い込まれたままなのか、と怒る人がいるかもしれないが、そもそも、コンピュータというものを、何も考えずにいつまでも手軽に使えるなんて思っているのが大きな間違いだと書いておこう。パソコンは家電ではないのだ。買ってしまった後で、使う側に何らかのリソース(資源)を要求するのである。

 リソース(資源)とは、 人、物、金、時間の4つである。これらの比率は状況で変わる、

 しかし、Windows XPのサポートがどんなものであり、これまでどう自分に関わってきたかが自分で説明できる人は、他のOSと比較し、どこがどう違うのかわかるはずだろう。こういう人は、Linuxに乗り換えようと考えてもいいだろう。

 単純に「WindowsのかわりにLinuxという選択枝は十分に考えられるではないか」という意見を掲げる人を見かけるが、そんなことを軽々しく言ってはいけない。それは、WindowsとLinuxがそもそも製品として、あるいは機能面やサポート面その他でどう違うのかを知っていて納得できる(あるいは、それをすぐに勉強できる)人のみに該当する意見であろう。大多数を占める人は、そうではないのだ。そもそも、OSを他に切り替えるということは、「そのOSの上で動く全てを何か別のものに切り替える必要があるに違いない」=「全てやり直しかもしれない」ということに気付かないといけない。これに気付けない人は、既に自分では何もできないと白状したも同然だ。
 大概のLinuxは無償で入手できて台数制限無しでインストールできるが、それを業務で使おうなどということを考えたのなら、それ相応の苦労を覚悟しておくべきであろう。人、物、金、時間というリソースをトータルで比較した場合、新しいWindowsに切り替えることと Linuxに切り替えることがどちらが得(容易)なのか、それは簡単に判断できない(*7)(*8)。

 *7 経営者はえてして金の一点(しかも初期費用)のみで判断してしまう。
 *8 一点のみ簡単に判断できる基準がある。Linuxを知っている人口は、Windowsと比べて圧倒的に少ないのである。これが意味することはわかるだろうか。少なくとも私が死ぬまでは、これが覆されることは無いだろう。

 しかし、こうやって書いていくと、そもそもOSとはOSを知っている人が使うもの、であるということになってしまう。そう、「Config.sysをいじれなくてDOSなんか使ってられるかよ!」というのは、実は昔も今も、そのまま言えるのである。

■今のOSのまま乗り切るのか

 さて。資金に余裕が無いから古いOSのまま使いまわす選択肢も考えるだろう。一般家庭の個人なら個人に責任を帰しても問題ないが、会社の基幹業務を古いOSで乗り切るというのは、全ての面で無謀である。基幹業務は自分のメシのタネではないか。すると、この場合のリスクはこれ。

@誰が面倒をみるのか。
 買い替えのための資金に余裕が無いというのは、雇われている人も切り捨てている可能性が高い。結局、人的な余裕が無いので、数年で切羽詰る。Linuxを採用した場合も、同じ。人的なリソースに余裕があるなら、それ以前にOSを買い換える余裕もあるだろう。少し安く済むからと他のサポート会社に頼んでもよいが、責任を転嫁しただけでリスクが完全に消えるわけではない。そもそもそのサポート会社は信用できるのか?
A本当にウィルスなどの脅威は無いのか。
 ネットにつながなければよいのだ、という人もいるだろうが、フロッピィやCD、そしてUSBメモリ経由でのウィルス侵入という脅威はまだ残る。そんなもの大丈夫さ、と言いたいのなら、どうぞご勝手に、となる。この場合でも最低限、ウィルス対策ソフトが必要だが、そのウィルス定義ファイルを頻繁に持ち込み更新する必要がある。それを誰がやるのか。そう、ネットにつながっていない環境というのは、それそのものがリスクでもあるのだ。
 しかし、現代の業務システム、ネット無しで仕事ができるとは思えない。
Bハードの代替部品が無くなる。
 いやもう、いつまで部品が残るのか、誰が修理してくれるんだと。これとて、それができる人が限定されてくる。頼める人はいつまでもいるわけではない。では新しいPCを買って古いOSを入れればよいのか、ということになるが、よし、ならばそれを今ここでやってみたまえ。

■人、物、金、時間は、どれもが切り離せない相互関係

 金が無いなら、人や物や時間でカバーする。人がいないのなら、物や金や時間を惜しんではいけない。時間が惜しいのなら、人も物も金も惜しんではいけないのだ。
 こんなこと、少し考えたらわかるはずなのだ。しかし、一番数えやすい「カネ」が惜しいと判断し続けたばかりに、知らないうちに手持ちの人も物も少なくなっている。そうしたのは誰ですかね。悩んでいるうちに、時間も無くなってきたぞ。
 古いOSをどうしようとあわてている人(会社)は、そのあたりの判断を誤ったのだと思う。

■冒頭に戻る

 学校の、古いWindowsパソコン。ネットにはつながっている(と子供が言っていた)。おそらく、ウィルス対策ソフトは入っていない(またはサポートが切れている)。しかし、おそらく全てを新調する金は無い。

 Windows 8にするかね? 子供のためと思えば安い買い物だろう。
 Windows XP のままにするかい? でも、「お父さんのパソコンのほうが新しいぜ」
 それともLinux にする? 「お父さんも友達もみんなWindowsなのに、どうして学校だけLinux?」。
 いずれにせよ、教師はパソコン群の管理ができない(*9)ので、どうしようもない。
 いや、それでも学校は簡単ですよ。どうしようもない状況になっても、パソコンを新調すればいいだけです。企業は業務システムを移植しなければいけない。それがどんなに大変なことか。

 *9 管理ができる教師がいても、公立の学校はローテーションで教師がいなくなるので、その時点で行き詰る。それに、お給料に関係ないことはやりたくないしね。

 学校に人数分のタブレットを用意しようという動きもある。設置してもいいが、そもそも先生に管理できないのがわかっているのだから、数年後(*10)の買い替えを見越して今から資金の準備をしておくべきであろう。

 *10 現在の状況なら3年後が妥当だろうか。

 知ったふうな口を利くなと言いたい人もいるだろうが、もちろん私は関係ない。そして私は今日もWindows2000を使っているのである。
 

(2013.5.2)



トップに戻る メニューに戻る