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「これこそ正しいベートーヴェンの聴き方」
はじめに


はじめに

 「正しいベートーヴェンの聴き方」という文庫本が出版された(2000年4月)。店頭で見つけて、あまり中身を読まずに買ったのであるが、正直私は損したなと思った。私はもう25年以上(2000年当時)もベートーヴェンを聴き続けてきたわけで、落ち着いて考えたら、何をいまさら正しい聴き方に興味を持たなきゃならないんだということなのであるが、本を読んでいると、ほんとに正しい聴き方って何だろうなと考えてしまったのだ。
 その本の内容は、結局のところ伝記半分、曲目解説半分で、その解説自身はそれほど突っ込んだものではない。突っ込んだ解説さえあれば正しい聴き方が出来るというものではないが、なまじ25年以上のキャリアがあると、そこに何か期待してしまう。それで損をしたと思ってしまったのだ。その本は、正しい史実を書くことが、正しい聴き方につながるという考えらしい。たしかに、ベートーヴェンの逸話は誤ったものもある。だからといって、最近の解説に誤った内容がまかり通っているかといえば、そのようなことはないはずだ。また、正確な伝記さえあれば正しい聴き方ができるのかと言われると、これまた全然そのようなことはない。聴く上で伝記はあまり役にはたたないのだ。そんなわけで私は、ベートーヴェンの正しい(かもしれない)聴き方という内容で書きたくなってしまったのである。
 どこまで書けるか、わからない。どれほどの数の人に読んでいただけるかもわからない。しかし、まずは、スタートしてみようと思うのだった。

 なあんて思いながら、どこが「正しいかもしれない聴き方」なのか? なんて思ってしまう。

 ふと思いついて、「かもしれない」なんて消極的な言葉なんてやめて「これこそ正しい」とした(2008年)。無論、半ば自虐的ジョークも込めている。



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