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「これこそ正しいベートーヴェンの聴き方」
軽い気持ちでベートーヴェン入門


とまあ、前のページでとにかく聴けばいいのさと書いたところで、何から聴けばいいのかわからないのが、道理というものだろう。では独断と偏見で選んでみたいと思う。どこにでもあるような、つまらない組み合わせではないぞよ。

1.バガテル集

 ピアノによる小曲集である。ちょっとマニアックな部類に属するが、「ながら聴き」ができメロディーもそこそこに面白いので、ピアノ曲の入門にはうってつけである。バガテルは曲集となっている3つ(Op.33,119,126)以外に、バラバラになっているものがかなりある。全部集めるとCDで2枚ほどになるが、ここは頓着しないで適当に1枚買ってみよう。名曲として「エリーゼのために」を含めたいかどうか、で選ぼう。バガテルは国内盤が少ないのが難点であろうか。
 バガテルとは「つまらないもの」という意味であるが、「つまる」曲も、ちゃんとあるので、安心していただきたい。

2.バイオリン協奏曲と、ロマンス(ヘ長調)

 メロディーに重きを置いたので、これもすんなり楽しめる。ただ協奏曲のほうは時間が長い(40分)ので、「ロマンス」(2曲ある)を付け足しで収録されているものを購入して、適当に聴けばよい。そうすれば妙な気負いも無くなるであろう。

3.ピアノソナタ「悲愴」「テンペスト」「告別」

 かつてLPレコードの時代、「悲愴」「月光」「熱情」という3曲合体セットがかなり有名であったが、私のお勧めは「悲愴」「テンペスト」「告別」。メロディ的に面白いからであり他に理由は無い。「月光」は有名ではあるがソナタとしての形式が普通ではない(急速な楽章が先頭に無い)ので、わざと除外してある。もっとも、無理にはずす必要もない。ピアノ曲も、ながら聴きができるのが長所。

4.序曲「エグモント」「レオノーレ第3番」「コリオラン」

 序曲は、長くても15分で終わるところがよい。さらには、上記3曲は面白さで格別である。序曲は他に8曲あるが、その中では「フィデリオ」「プロメテウスの創造物」序曲が次によい。CDでは、このあたりで適当に数曲を組み合わせたものを選ぶことになるだろう。序曲を聴くことは交響曲の縮図を聴くことなので、これら3曲でも十分なのである。ただでさえ、長時間じっとガマンできない人が多いのだ。10分くらいなら、なんとかなるであろう。

5.弦楽4重奏曲第10番「ハープ」

 これは私がベートーヴェンに開眼した曲であるが、彼の室内楽においても、メロディが豊かでわかりやすい部類に入るので、入門としては都合がよい。


 以上である。ナニ、少ないとな? いや、これだけ聴いても、立派にベートーヴェンを知っていることになる。なにも、最初から交響曲を聴かなくてはいけないわけではないのだ。そこを勘違いしてもらっては困る。ベートーヴェンが生きていた時代、交響曲の演奏会にはなかなか行けなかったのだ。誰もが、小人数の曲から馴染んできたのである。家庭にあるのはピアノであり、町内(?)で演奏できるのは、室内楽であった。
 われながらなかなかすばらしい選択であると思う。自己満足だな。



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