「これこそ正しいベートーヴェンの聴き方」
メロディー2
メロディーその2
大好きなメロディーというものが誰にでもある。ということで、私がとても面白いと思っているメロディーをとりあげたい。このページには少々大きめの画像が5枚ある。どれも、交響曲第2番の第4楽章、第2主題である。この交響曲は、初演当時「管楽器のおおげさな使用」と批判されたものだ。当時は、当然のこと管弦楽は弦楽器が主体。管楽器は、添え物程度の扱いだった。たしかに、ハイドンやモーツァルトなどは、管楽器の効果的な使用で魅力的な交響曲を書いた。しかし、管楽器が控えめであったからこそ、効果的に聞こえた、と言えなくも無い。いっぽう、ベートーヴェンはめいっぱい管楽器を使用している。使い過ぎと言われても、仕方が無い。
譜例は見づらいと思うが、黒■は主題、黒●は、飾りの音形である。この曲を知っている人は、これがどこであるか、難なくわかるはずだ。
この主題では、1種類の楽器で主題を演奏するわけではない。[クラリネット+ファゴット]→オーボエ→[フルート+クラリネット]→ファゴット→オーボエというように、計算し尽くしたリレー演奏をしているのだ。時代の関係上、クラリネットが一番控えめであるが、4つの管楽器のどれもがこの主題における主役なのである。そして、この長さは延々32小節におよぶ。
バイオリンの突然の音型に、フルートが添えているところが面白い。オーボエによる2小節遅れたエコーも、音の持続を保持する働きがあって、面白い。
このような息の長いメロディーは、弦楽器でも可能であるが、きざみの伴奏は管楽器には任せられない。必然的に、管楽器の出番だ。
バイオリンのきらめきの音型に重なって、フルートも、sfで音を出していることに注意したい。このように、音が強くなったり弱くなったりと、細かな調整が行なわれている。重要なメロディーであることを示しているのだ。
この5小節めで、1拍めの音にフラットが付いている。微妙なところで変化を付けている。
やっと主題が終わった。ベートーヴェンにおいて、かなり長い主題のひとつである。