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「これこそ正しいベートーヴェンの聴き方」
わしの原初体験


 演奏の評価などというのは、初心者の頃に買った録音が基準としてインプリンティングされてしまうものだ。初心者なので、1枚買うと、そればかり長く聴き続けるからなのだろう。だから、最初の選択というのは、かなり重要なのだと思う。それが名演奏だったら申し分ないが、初心者は曲の形に親しむのが重要なので、演奏の印象が少々薄くても問題ないのではないかと思っている。もちろん、標準的なものから、はずれすぎている演奏はいけない。また、あまり録音の悪いのは、よろしくない。何も知らない時期には、曲そのものとは関係ないことが曲の印象に直結してしまうからだ。最初に聴いた交響曲第8番の録音が悪かったので、しばらくこの曲になじめなかった。モノラル録音は、できれば避けたほうがいいと思う。
 今は、ステレオ録音初期のものが1000〜1300円でシリーズ化されていて、多量に買えるようになっている。いい時代である(2005年頃から)。

整理しよう。
 ・名演奏でなくてもよい。標準的な演奏を。
 ・モノラル録音は、できれば避ける。


ではまあ、わしの有名曲初体験をば。

交響曲第5番、第6番「田園」 カラヤン、フィルハーモニア管弦楽団 モノラルだったはずのもの。中学1年で聴いた。あまり印象が無いのは、すっきりしすぎているせいか。ステレオ装置を買ってもらったときに、店の人に選んでもらったものの1枚。たしか、カラヤン来日の影響で、管弦楽は何でもカラヤン、という時代だった。
交響曲第3番「英雄」 トスカニーニ、NBC交響楽団 モノラル。中学2年で聴いた。気に入っていた演奏だ。初心者には結構きつい曲であるが、求心力のある熱血演奏だったので、救われた。トスカニーニの、1500円盤が多量に発売された時期だった。
交響曲第9番「合唱付」 ワルター、ニューヨーク・フィル他 モノラル。中学2年で聴いた。暖かいと評価されるワルターにしては、荒い録音なので、けっこう衝撃的に聴けた。ワルターのモノラル録音が1000円盤で多量に発売された時期だった。
交響曲第8番 ワルター、ニューヨーク・フィル モノラル。中学2年で聴いた。録音が悪く、耳にこもるような感じで好きでなかった。そのため、第8番への印象がしばらくの間、悪くなってしまっていた。
ピアノトリオ「幽霊」 カザルス他 モノラル。中学3年。日本では家庭にクラシック音楽が浸透していないので、さすがに室内楽に親しむのは、早すぎた。良さがわかるようになるには、数年かかった。
ピアノ協奏曲「皇帝」 ゼルキン、ワルター、ニューヨークフィル? モノラル。中学3年。印象は薄いが、曲そのものは、よくわかる演奏だったと思う。
バイオリン協奏曲、エグモント序曲 スターン、バーンスタイン、ニューヨークフィル ステレオ。中学3年。名演奏のひとつ。好きで何度も聴いた。エグモントも、印象が強い。
ピアノ協奏曲第3番、ピアノソナタ「テンペスト」 ハスキル、マルケビッチ、コンセール・ラムルー管弦楽団 ステレオ。大学1年。フィリップスのグロリアシリーズ。地味な協奏曲だなあと思ってしまった。テンペストのほうが聴き応えがあった。
コリオラン序曲、序曲レオノーレ第1,2,3番、フィデリオ序曲 コンヴィチュニー、ゲバントハウス管弦楽団 ステレオ。高校の頃?。渋い響きで、じつに何度も聴いた。ベストなファースト・チョイスだった。
ピアノソナタ「悲愴」「月光」「熱情」 忘れました ステレオ。大学1年。無名の演奏家であったが、お世話になりました。フィリップスのグロリアという1300円盤シリーズが多量に出た時期だった。
7重奏曲 バリリ、ウラッハ他 モノラル。大学の頃。この曲では、今もこの演奏がトップである。ベストチョイスであった。ウェストミンスターも1300円盤シリーズを出していた。



2007/2



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