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ミクさん 2017年夏


このサイトの表紙、芸術的至言を乱発する中、たまに不謹慎発言をするのは氏の特徴でもあるが、今回は「ミクさんの水着姿を見たい」ときたもんだ。これは意味があって、全く別のところにある企画に関係した文言である。当分、このままにしておく。

 ミクさんは、2017年8月31日に発売10周年を迎えた。音源、さもなくば楽器としての発売から10年である。電気の発明/発展以来、さまざまな電子楽器が出てきたと思うが、クラシック音楽に取り入れられたものは少ない、いや、はっきり言って無いも同然だ。オンド・マルトノとかあるじゃないか、と言われそうだが、あれだってしょせんイロモノであることには違いが無い。つまり、管弦楽などの中で一定の地位を占めていない。そういう意味でミクさんは楽器としてはイロモノである。

 フォルテピアノ(ピアノフォルテ)が正確にいつ発明されたかは知らないが、せいぜい300年、ベートーヴェンの生きていた時代では100年経過した程度だろう。もちろん、徐々に徐々に発達してきたはずである。今のピアノに似てきましたね、と言えるのはたぶんベートーヴェンの生年あたりではないか。でも、フォルテピアノがなぜ発展しピアノとなり音楽の中で重要な地位を占めるようになったかというと、それはチェンバロやオルガンと同じ鍵盤というインターフェースだったからではないかと思う。オルガンより小さく、チェンバロより表現の幅が広いが、同じインターフェースなら、当時の人々に受け入れられるのは容易いことであっただろう。

 ミクさんは、そのインターフェースが鍵盤ではない。コンピュータだ。そのため、生演奏には適していないのである。一方鍵盤を備えた電子楽器に電子オルガンがあるが、(異論はあるだろうが)あれはあらかじめセットした音のデータを出すだけであって、自分固有の音を創造して演奏するものではない。結局電子オルガンは鍵盤をもってはいてもやはりイロモノであり、せいぜいオルガンか何かの代用にしかならない、と私は思う。


 ただ、ミクさんと他の電子楽器には大きな違いがある。それは歌える、という一点である。
 もう一点、「容姿」があるではないかというかもしれないが、これは楽器としての違いではない。ただ、後述のエポックメイキングには計り知れない影響を与えている。
 
いずれ近いうちに、音声合成がより柔軟に容易にできて、奏者が弾き語りをするのをそのまま声をリアルタイムで変換して音を出すようになるだろう。さらには、奏者の隣で投影されたキャラクターがリアルタイムで歌う姿を見せるだろう。その最初が(じつは先に発売された Meiko や Kaito ではなく)ミクさんなのだ。いつの日か、VOCALOIDという楽器名は、これから発表され使われていくだろういくつかのコンピュータの音声合成技術に埋もれていくに違いないが、音声合成のエポックメイキングとして、初音ミクという名は歴史に残るのである。

※夏なので、袖やソックスなどを変更した衣装になっています。
(2017.08.29)



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