最初の1ページ 管弦楽その3
特にマイナーな、出来の悪い曲ばかりが集まった。交響曲などと比べたとき、思索し推敲していく手間は少ないかもしれないが、書き留める労力は大差が無い。ペンで書き留めることが億劫な私には、出来の悪い作品を書き残すのは効率が悪いなあと思う。しかし、付き合い上の理由で書いたり、純粋なお金目的であったり、習作であったりと、作曲の経緯上重要であることには変わりない。
管弦楽のためのアレグレット(祝賀メヌエット) WoO 3
おめでたい席を賑わせるための音楽。まさに、お金儲けのための音楽。そこそこに荘厳で、そこそこに明るい。そして、聞き流せる。
軍隊行進曲 WoO 18
いわゆる「ヨークシャー行進曲」。当時の行進曲としては、そこそこ名の知れた曲だ。コントラファゴットがあるので、このままでは屋外で行進しながら演奏できない。おっと、行進しながら演奏したのだろうか。どうもアメリカのブラスバンドのイメージから離れられない。
表題に「2つの軍楽のための行進曲」とあるように、次の曲とペアで作曲された。オーボエが無くて、フルート×2とピッコロが高音を受け持っている。
ちなみに、楽器の段は上から、ピッコロ、フルート×2、クラリネット(ヘ調)、クラリネット(ハ調)×2、ホルン×2、トランペット×2、小太鼓、大太鼓、ファゴット×2、コントラファゴット。
軍隊行進曲 WoO 19
何もかかれていないが、楽器編成は前の曲と同じである。
軍隊行進曲 WoO 20
こちらはフルートが無くてオーボエがある。当時は、楽器の種類なんてどうでも良かったんじゃないかなぁという気がしてきた。トライアングル(下から4段め)とシンバル(下から3段め)がある。
ポロネーズ WoO 21
軍楽が行進曲で使える2拍子なのはわかるが、3拍子は何に使うのだろうか。そういえば「軍隊ポロネーズ」(ショパン)があったなあ。ポロネーズは3拍子の舞曲である。
軍隊行進曲 WoO 24
別ページにも書いた、ベートーヴェンでは管楽器の種類も数も、最も多い音楽。これだけ管楽器があるというのに、フルートが無くてピッコロがあるというのが、不思議だ。数曲をまとめて見ると、軍楽ではピッコロが最も重要な楽器なのだろうと思える。
騎士バレエのための音楽 WoO 1
第1曲は、ピッコロ、クラリネット、ホルン、トランペット、弦楽器。この編成がそのまま最後まで続く。フルートが無いことに注意されたい。「騎士」ってことは、この音楽は軍楽の親戚扱いってことだろうか。
「ウェリントンの勝利」または「ヴィットリアの戦い」 Op.91
この曲の最初の1ページは説明が必要だ。
最初は小太鼓で行進。楽譜記載のリズムを繰り返し、だんだん音が大きくなる。つまり左側の奥から歩いてくるという設定。行進が止まると、トランペットで信号。続いて始まる曲が「ルール・ブリタニア」。舞台左側はイギリス軍であることがわかる。ルール・ブリタニアもこの場面では軍楽という扱いになるので、楽器編成はこれまでに出てきた行進曲とほぼ同じである。
楽譜には細々と文章が書かれているが、内容は以上のような設定に関することである。
一通り終わると次はフランス軍の登場となる。
「タルペイア」のための「勝利の行進曲」 WoO 2a
このテの曲で有名なのは、ヘンデルの「見よ、勇者が帰る」(ほら、表彰台なんかでありがちな)。ヘンデル好きなベートーヴェンだから結構それを意識したかもしれないが、結局出来は大したことが無かった。
(2010/4/14)