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最初の1ページ ピアノ三重奏曲その1


 バイオリン、チェロ、ピアノが基本編成。下をご覧になるとわかるように、1ページで3〜4かたまりを掲載可能だ。ベートーヴェン存命当時はともかく、今は、ほとんど見向きもされない曲種である。ピアノ・トリオというと、ジャズを思い浮かべる人が多いかもしれない。

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ピアノ三重奏曲第1番 Op.1-1
 いわゆる「世に問う」という意味で、ウィーンで最初に出版したのがこの曲(と、続く2曲)で、自分で作品番号を1と付けた。これら3曲セットのうち、第1、2番は流行も取り入れた「普通」の三重奏曲である。「普通」なのはあくまでも雰囲気だけだったろうが。

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ピアノ三重奏曲第2番 Op.1-2
 第1番もそうであったが、リズムは違えど冒頭は駆け上がっていく音型だ。これを俗に「マンハイムの花火」と呼ぶのだろう。このような音型が、当時の流行のひとつだったそうだ。

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ピアノ三重奏曲第3番 Op.1-3
 想像してみよう。音楽大好きな連中が、第1、2番という、雰囲気が普通の三重奏曲を聴いた後のことだ。そこまでで約40分が経過している。短調をその曲の主な調にすることは別段変なことではないが比率は少ない。前2曲の計8楽章も全て長調であった。しかも、冒頭はどちらも駆け上がりの音型ときている。
 そこで、ウィーンでの公の場で作品披露の実績が無かった新人作曲家の、作品1として差し出した3曲の最後がハ短調のコレだ。大抵の人は、冒頭で「おっ!」と思ったはずである。
 ただ、正直に思うのは、一つのひねりも無く似たような曲を3つ並べて終わりにしたら、バカにされるだけじゃないかと。

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ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」 Op.11
 バイオリンのかわりにクラリネットがある。もともとピアノ三重奏というのは、ピアノ以外の2人の楽器に何を使用するかで規定はないので、このような組み合わせも存在する。

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ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」 Op.70-1
 いきなりユニゾンで始まる、元気の良い曲。「幽霊」は、単なる第2楽章のイメージの連想である。

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ピアノ三重奏曲第6番 Op.70-2
 最初の1ページは序奏だ。

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ピアノ三重奏曲第7番「大公」 Op.97
 落ち着きのある、堂々とした気品のある冒頭。「大公」は、献呈した相手の地位を示すだけなのだが、地理的にも歴史的にも遠い日本からは、「大公」という名前のイメージが妙にしっくりくる。大公秀吉などというからね→それは太閤だろ。その意味では、ほぼ同じ時期に作曲された「皇帝」と同じである。

(2010/3/29)



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