昔懐かしいレーベルを眺めて過去を思う
棚を眺めていて、昔に買ったレーベル名を見て懐かしく思った。過去の思い出なんて、悪いことのほうがはっきり覚えているので思い返すことはほとんどやらないが、CDを眺めるのは良い。CDは悪さをしないのだ。
最近はもっぱらネットでCDを探すが、前世紀は街のCD屋で探したものだ。東京への出張時には、銀座や秋葉原、御茶ノ水、あるいは数寄屋橋に行ったり、大阪や京都に出かけたこともあった。そこで見つけたCDの、うれしかったこと。見つけた瞬間に自分の手にそれが乗っているというのは、まさに買い物の本来の姿じゃないかと思う。
今は、ネット通販があるし、多少の語学の素養があれば個人輸入も可能だろう。前世紀は、そうはいかなかったものである。
珍しい曲を探すとなると当然マイナーなレーベルを探す。今でも頑張っているレーベルもある。マイナーなレーベルは普通の名曲ばかり録音しても注目してもらえないので、独自色が濃い。CDレーベルについては大して知っているわけではないので、深追いせずにつらつらと書いていきたい。
Chandos(シャンドス)。イギリスの作品が多かったと思う。このCDは、ビオラとピアノのためのノットゥルノ
Op.42
という前世紀としては大変珍しい作品のCDである。ノットゥルノは、今はいくつか録音が売られているようである。便利な時代になったものだ。
Koch Schwann(コッホ・シュワン)。マイナーな作品が多かったレーベルで、よくこのロゴを探したものだ。このCDは元はLP、1967年の録音で、当時としては珍しいオルガンによる演奏。音楽時計のための作品が3曲含まれていた。なかなか可愛い作品である。
HUNGAROTON(フンガロトン)。この言葉はハンガリーの会社なのかなと思うが確かめていない。この会社も珍しい録音が多い。これはCDであるが元は1977年収録のLPで、古楽器による録音として初めて買ったLPである。古楽器とはこういうものかと初めて知った。
BIS(ビス)。北欧の作品が多い。シベリウスは全集を目指していたと思ったが完成しただろうか。それはともかくなぜかベートーヴェンの、それもオルガン作品が収録されている。1993頃録音のこのCDも音楽時計の演奏があるので買った。
FSM(エフエスエム?)。1977年収録。このロゴも珍しい録音が多かったので記憶に残っている。ハープが写っている通り、ベートーヴェンのハープ作品(例の変奏曲)が収録されている、と思ったら違っていて「音楽時計の作品」の編曲だった。
COLOSSEUM(コロッシアム?)。コロシアムならローマだろうと思ったがドイツのレーベルだった。1988年収録。こちらはまさにあのハープの指定もある変奏曲が収録されている。また、「楽器指定の無い2重奏」とあって、「うわ、やった掘り出しモノか!」と喜んだのだが、結局「音楽時計の作品」の1曲だった、というオチである。
TUDOR(チューダー)。クラリネットとファゴットの2重奏を初めて見つけたのはこのレーベルのLPだった。
Claves(クラーヴェス)。古楽器の演奏が多かった印象がある。このディヴェルティメント・ザルツブルクの演奏(Op.20とOp.16)は出色の出来だと思う。
Meridian(メリディアン)。3つのピアノ四重奏曲という珍しい録音。録音機材が何かとかピアノはベーゼンドルファーとか、記載内容も珍しい。Meridianとのお付き合いはこのCDのみである。
AMON LA(アモン ラ)。エジプトの象形文字のようなロゴを持つがイギリスの会社。古楽器系のLPで何枚か世話になったが、CDになって管楽合奏のこれ1枚のみが残っている。
NIMBUS(ニンバス)。イギリスの会社。ベートーヴェンの交響曲第5、第1の2枚のCDを発売したがそれは古楽器によるベートーヴェンの交響曲演奏がブームになる直前で、見つけたときは「うわあ、コレギウム・アウレウム以来、ひさしぶりだなあ」と喜んだものだった。しかしすぐにフィリップス、オワゾリール、EMIが大々的に競って発売を始めたため、埋もれてしまって話題にもならなかった。演奏人数は、NIMBUSのシリーズが一番少なかったはずだ。
CALLIOPE(カリオペ)。故長岡鉄男氏絶賛のレーベル。室内楽系が多い。モーツァルトのアイネ・クライネは良い録音だったなーと思う。ベートーヴェンの弦楽四重奏は全曲発売されたはずだ。全部持っていないのがくやしい。
(2014.05.25)