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ご参考)NFJ FX-AUDIO- PH-A1J


 FX-AUDIO- PH-A1J パワートランジスタディスクリート構成ヘッドフォンアンプ

 説明では、左右独立オペアンプによるゲイン調整&バッファーを前段に構え、後段に「パワートランジスタによるディスクリート構成」の増幅回路を持つ、とある。製品の副題が「パワートランジスタディスクリート構成ヘッドフォンアンプ」というのは聞こえはいいが、完全ディスクリート構成ではない、「引っかけ」の表現であることに注意。
 写真を見てわかるように、放熱器を持つトランジスタと、持たない小さめのトランジスタが、片チャンネルにつき各2個、計4個使われている。この手の価格帯の中国製オーディオの例に漏れず、オペアンプは交換式。これが、そこそこ使える製品に仕上げる常套手段でもある。逆に、高級であればあるほど回路が入念にチューニングされるはずであり、そうなるとオペアンプを交換可能にする余地が無くなるであろう。オペアンプを交換できるということは一見面白いものであるが、深くチューニングしていないのかもしれない、と思っておかなくてはいけないだろう。
 標準搭載のオペアンプは、NE5532P。販売実績があり、標準的かつ低価格で、いわばこれを載せておけば文句を言われない部品である。周波数帯域はそれなりに広く癖が無い。これをもとに作っておけば、他のオペアンプに交換したときにかえってその特徴を表しやすいのかもしれない。

  PH-A1Jの電源部分は、発売当初の第1ロットでは発熱によるノイズで問題になった回路があった(後述)。第2ロットでは回路が変更されていて、ノイズの問題は解消されている。お気に入りの機種だ。

姉妹製品に PH-A2J がある。こちらは前段がオペアンプ1個に変更され、後段はヘッドホン専用のIC TPA6120に変わっている。オペアンプ交換の楽しみが半分になったことも魅力が減った理由であるし、後段の専用ICがいくら性能が良くてもパワートランジスタという物的な魅力には負けるだろう。価格がPH-A1Jよりも高いにもかかわらず、全く魅力の無い製品に見えてしまっている。

第1ロットにおけるノイズの問題
 2018年3月に、North Flat Japan の製品を買ったので、"ノイズ対策"を含め、紹介する。
 会社のことは、こちらを参照。製品のことは、こちらを参照。

 買ったのは写真の製品、PH-A1J、ヘッドフォンアンプだ。2018年6月現在で品切れ中であるが、同じ製品がまた出るのかは…2019年に出た(同様の名前の製品で PH-A2Jがあるが、これはPH-A1Jの改良型ではなく、設計も全く異なる別の製品だ)。ただ、読み進めていくと推測できると思うが、このPH-A1Jの改良型が出るかどうかも心許ない。なお、FX-AUDIO-には"J"の付かない"PH-A1"というヘッドフォンアンプがあるが、これは下の写真の通り、内部構造が異なる別物と思うべき。"J"が付くと、NFJの専売モデルだ。
↓PH-A1J(日本販売モデル)の内部

↓PH-A1(中国モデル)の内部。かなり異なっていることがわかる。


 歳をとってきた耳で聴く話なのでどう表現していいのかわからないが、音はたっぷり鳴る傾向。(もう売り払ってしまったが、かつての)メインの環境であるAccuphase E-406と完全に比較できたわけではないが、この製品は値段のわりには良い感じである。日本製ではないという点で不安は残るだろうし、後述のような現象があるので手放しで褒めることはできない。日本側の指導や管理が入っているという点で、かの国謹製であることから一歩アドバンテージがあると思う程度でよいと思う。

 さて、2018年3月下旬頃に買ったこの製品を「1台め」とする。この製品は使用する上で全く問題が無い。1時間以上使用してアルミのケースが熱くなっても普通に動作している。音も良い。入力は、RCAプラグと3.5ミリ・ステレオミニジャックの2系統。強いて言えば、RCA入力のほうに若干のホワイトノイズが乗るが、それもボリュームをかなり上げてのこと。9時10時では何ら問題なく、うれしい限りだ。中の部品であるオペアンプを交換できるので、さっそく別のオペアンプである OPA2134, NJM5532DDや、LME49720NAに交換しならが聴いている。あまり頻繁に交換するのは故障の元なので、なるべくお手柔らかに。
 しかし、価格4,980円ともなると別の欲が出てくる。2台めが欲しくなったのだ。なぜなら、オペアンプを交換できるのだから、そうすれば若干違う2台のヘッドフォンアンプを持つことになるし、わざわざ何度もオペアンプを交換する必要は無い。それで、2018年5月に入って「2台め」を買ったのである。

 残念なことに「2台め」はノイズが多かった。最初に気付いたのは、聴き始めて1時間が過ぎた頃だ。音楽にやや隠れているとはいえ、ノイズが大きくなってきた。試しにCDプレーヤーをつないでいない3.5ミリに切り替えると、こちらでもチリチリというノイズが聴こえるのだ。つないでいないからだけなのかと思い「1台め」で同様のテストをするとノイズは聞こえない。そう、「2台め」はノイズが多い個体だったのである。しかも、オペアンプを別のものに交換しての同じテストでは、RCAプラグの入力でもノイズが出てくるようになった。オペアンプの感度の高さに理由があるとはいえ、ノイズが多いことには変わりはない。

 いろいろ試した結果、「2台め」では
・使用開始後1時間あたりからノイズが出る。
・ノイズは、「ジー」「チリチリ」という音である。
・使用するオペアンプによって、ノイズの音量が変わる。
・RCAプラグより、3.5ミリ・ジャックのほうがノイズは多い。
・入力機器を接続するより、接続していないほうがノイズは多い。

 ここまでで推測してみる。1時間経過後のアンプの状態だ。ケースが熱いのが原因ではないか。そう思ったが、どうすればいいのか。
 パソコンをいろいろいじっている手前、最初に思いついたのはヒートシンクの搭載だ。E-406だって、でっかいヒートシンクがあるじゃないか。そこで大きなヒートシンクをわざわざ3個も買って、天板に貼り付けたのである。効果は…

効果は無かった。これは粘着テープが悪いとかヒートシンクそのものが悪いのではなく、ケース内部がノイズを発生する温度に達して平衡状態になったんじゃないか。となると、ケースを開けるしかないのか。幸い、ネジを取り外せばよい仕組みなので操作は簡単。とにかくネットを調べまくっていると「上蓋を開けるとノイズが消える」という体験談もある。そこで私もケースを開けてみて1時間以上待った。するとノイズは出なくなったのである。
 ちまたのプリメインアンプでさえ、ケースの上面には細かな穴が開いていて熱を逃がしている。同じことをすれば良いわけだ。だからといって、アルミダイカストと思われるこのケースに、あらかじめ穴やスリットを付けるのは難しそうな/費用がかかりそうな技術だ。あとでスリットを削って開けるわけにもいくまい。だから、この製品の改良型が出るとするなら放熱対策を十分にできるか、さもなくば発熱の少ない部品を選定できるか、しかない。そうするくらいなら、設計を最初からやりなおすだろう。(電源部分の設計を見直したロットが、2019年に出た)

 上蓋を開けたままにすればいいのならそれだけのことなのだが、開けたままではホコリが入ってしまっては、要らぬトラブルの元。それは最小限に食い止めたい。そこで考えたのが、ちょっと大きめのケースをかぶせることだ。とはいうものの装置の前も後ろもケーブルがつながっている。そこでたどりついたのが、コレである。

 アクリルの「コの字型の台」。フタじゃない、陳列用の台座だ。幸い、サイズを注文できる製品なので、装置の前後上部に隙間ができるように作ってもらい、フタにするのである。これで、私としては熱によるノイズの問題を解決できたことになる。

で、これで終わりになるはずだったのだが(2018/6/4)

 フタを開けて解決のはずだったが、そうは問屋がナンとか。実はノイズが増えてきたのである。
 それでは、と仕方なくフタをする。と、どうだ、ノイズが消えるではないか。現象が逆転してしまったのである。6/2にこの逆転現象が発生し、よくわからないまま昨日も今日もフタをして聴いている。ノイズが無い。なぜなのか。アナログ回路は永遠の謎である。とりあえず、ヒートシンクだけでももう一度つけてみようか、などと。

それから2週間(2018/6/15)

 リスニング使用時間:約40時間、通電時間:約120時間。およそこれは超えているだろう。今のところ、ノイズ発生は無くなった。

さらに3週間(2018/7/7)

 7月になった。ノイズが無いのは、変わりない。これでいいのか? とにかく、日本製アンプでこんなことは今まで無かった(というほど買ってませんけどね)。

そして、買ってから10か月後(2019/3/15)

 2月に、電源部の設計を見直したロットで再発売された。最初から、そうしておけばよかったのに、などと思う。さて、わが家の2台は、全く問題なく動作している。寒い時期だったからかもしれないが、これから暖かくなる。今のところは大丈夫。3月、気温は20度ちょいくらいかなあ。とにかく、元気に動作している。

で、6月、その次のロット(第2ロット)を買ったのである。写真の左下の電源部分が変わったのがわかるだろう。
 つまり「3台め」なのである。これで、満足できる製品になった。


(2020.6.25)



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