無料の音楽データをダウンロードを、いつするか?!……
■著作権有効期限70年化が確定
5/12の報道の通り、「環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加している日米など12か国が、音楽や小説の著作権の保護期間を70年に統一することで合意する見通しになった」
これは何を意味するのかというと…このページで言いたい結論は、「ネット上から無料で入手できる楽譜の一部と、多量の演奏が消えることになるのだ」
この発効がいつになるのか調べる気は無いが、パブリックドメインを扱っているサイトで近々に動きがあるのは明確だろう。
さて、こと音楽に関する限り、こうなる。
著作権有効期限70年以内の「楽譜」「録音」がネット上から消えることになる。楽譜は…まあ、ほとんどの名曲が作曲者死後70年以上を経過しているので大きな影響は無いだろう。(私としては、最近R.シュトラウスの作品がパブリックドメインになってネット上で入手できたり、日本での出版が安価にできたりしたことがうれしかった。)
しかし「録音」については問題である。
ここで、2015年に「著作権有効期限70年化」が発効すると考えてみるなら、1945年以降の録音は全てネット上から消える。年数の計算は正しいかな?
この1945年以降というのは、第二次世界大戦直後から始まるモノラル録音末期の巨匠たちの演奏がほぼ全て含まれることになる。その量は膨大だ。とにかく、モノラルとはいえ鑑賞に耐えうる録音が始まったのが1950年付近であるためだ。逆に、ネットに残る録音は鑑賞に耐えられないほどひどい録音ばかり、ということになる。もちろん、クラシック音楽に限った話ではない。
影響を受ける演奏家の名前を並べてみよう。
フルトヴェングラーやトスカニーニから始まって、カラヤンの最初期のものから全て、ワルター、モントゥー、クリュイタンス、コンヴィチュニー、クレンペラー、バックハウスは言うに及ばず、ケンプ、シェリング、フルニエ、リヒテル、ロストロポービチ…
ベートーヴェンの演奏録音が現在無料で公開されている演奏家に限って紹介しているが、これだけでももうスゴい面々であり、これが一気にネット上から消えてしまうのである。残骸は、せいぜいSP録音の復刻ばかりであり、めぼしいものはワインガルトナー程度くらいしかないのだ。
そう、だから
■今のうちにネットに残っている録音は全て入手しておこう。
もし持っていない録音を見つけたら、クリックしておこう。
悪いことは言わない。今聴かない音楽であっても、趣味が広がって聴くかもしれない。家族の誰かが聴くかもしれない。
そもそも、今売っている高額のCDなんて、せっせと買う価値は無い。だいたいにおいて昔の巨匠たちの録音から比べれば、今売り出し中の若造の演奏なんて比較するにも値しないゴミばかりと思う。
日本盤の高額なCDしか買っていない鑑賞歴の浅い皆さん、パソコンの知識をちょっと増やすだけで、膨大な、しかも最良の演奏が聴けるのだ。
鑑賞歴の長い皆さん、1960年代の録音を聴かないのは恐ろしいほどにもったいない。
入手するために必要な知識は
@ダウンロードする。
AFlacファイルを聴けるように変換する。
B携帯プレーヤーに転送する、またはCDに焼き付ける。
である。
良い音質のデータはFlacファイルなのでAは必須の手順だ。しかし、フリーのソフトウエアをいくつか探して使った経験があるなら、以上の作業は容易なことだろう。
とにかく、消えてしまわないうちに確保しておこう。
うっかり消してしまいそうなデジタルデータという形態が嫌で、メーカー製造のCDにしか興味が出ないのなら、AmazonとかHMVで売られている安価なCDを入手すればよいが、話の方向が違う。
■(念のため)昔のLPからの復刻盤も例外ではない。
よく見かける例は、フルトヴェングラーの演奏をCDに「復刻」したもの。もし1945年以降に発売のLP(ないしはSP)から復刻されたというCDであれば、今回の件で一旦発売停止になるだろう。権限の問題がクリアされるまで売ることはできない。問題がクリアされても価格は上昇しているだろう。いや廃盤のままにしてしまうだろうと私は思う。そう、欲しいなら今のうち買っておくべきだ。
でもまあ、そんなものを買いたいと思う人は既に買っているでしょうが。
(2014.5.14)
トップに戻る