芸術って、何なんですかね
だらだら書くといけないので、90分で四百字詰原稿用紙4枚程度にまとめられるようがんばってみた。
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芸術って何だろうと考えたことはありますか。
世の中に芸術はいくつも分野があります。そこで比べてみましょう。たとえば音楽。歴史に名を残した作曲家と、私の子供が思いつく旋律には、途方も無い差があります。しかし、どこかある段階で、ここから先が芸術だと示す印はありません。なぜでしょう。いつしか私の子供がうまく曲を作るようになってきたとき、人はどこから芸術になったと言ってくれるのでしょうか。
目に見えるような答えは無いでしょう。
私の職場では、折に触れ注意することがあります。それは、手段と目的を取り違えるな、ということです。何かの仕事をするとき、目的を忘れて小手先の技術でまとめあげようとすると、そこで出来上がったものは最初の目論見とは違った、目も当てられないものに成り果てます。芸術だって同じことでしょう。
まず、作曲における手段とは何でしょうか。
良い曲を作るには技術が必要です。それは第一に旋律、和声、リズムの3要素をうまく使いこなすことでしょう。良い旋律をひねり出すには創造力も必要でしょうか。豊かな音楽体験を重ねることも必要でしょう。うまく曲の構成を組み立てる技術も必要です。
数多くの楽器に親しんだり使いこなしたりした経験もきっと手助けになるでしょう。
高度な技術や豊かな経験を持った人は、世の中に大勢いるはずです。いや、人類が何百何千年と歴史を積み重ねてきたというなら、後の時代に生きる人ほど先人の積み重ねたものを土台にしてさらに高度な技術と経験を持っていて当然です。しかし、どの芸術の分野を見ても、過去と比べてより多くの良い作品が生み出されているようには見えません。
どうしてそうなるのかというと、ここまで書いたことは全て手段であるからです。行き着く先を見越していない限り、手段(つまり技術と経験)だけでは、どこにたどり着くかもわかったものではないのです。まれに運良くあるべき道を通ることもあるでしょうが。
行き着く先を見越すこと、それが目的を知ることであれば、芸術の目的とは何か、結局それは、多くの人に喜んでもらえることでしょう。なあんだと思うことかもしれませんが、真理なんて単純なものです。
ただ喜ぶだけというだけなら、笑える曲を書いたりすればいいかもしれませんが、長く世に残り、多くの人に深い感動を与えるような作品を残して、それが例えば勇気と希望までも与えることができたら最高でしょう。大げさかもしれませんが、それくらいの気概を持って臨まないと、世に大きな芸術を残せないと思います。
最初の質問に戻ります。
芸術って何でしょう。それは多くの人に感激感動を与えることができるものです。そして、芸術を作り得る人は、芸術が人々に何を与えられるのかわかっている人なのです。
その人が芸術に向かう姿勢に一本の筋が通ったとき、その人が持つ技術や経験が、人々を感激感動させる作品を生み出す原動力となるでしょう。
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補足1)私は、上に書いたような芸術に向かう姿勢を作曲家や演奏家に見つけたとき、いいなあ、すごいなあ、可愛いなあ(女性限定)、と思うのです。
補足2)ベートーヴェンは幼いフランツ・リストにこう言いました。「おまえは幸せものだ。多くの人を幸せにし、そして喜ばせてあげられるだろう。これ以上に良いこと、美しいことは無いのだよ」
補足3)なぜこのページを書いたのかというと、他人がどういう観点で音楽を聴いているのかわかんない、と言っている人がいたからです。
ああ、大体90分以内で指定文字数で、それなりになんとかまとまって書けた。試験に小論文が無い大学に行ったってこともあって、若い頃はこんなふうにかけなかったなぁ。でも、論理が飛躍してるから、50点くらいか。
(2011/5/24)