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2005年08月17日
ベルギー余話
ベルギーという国は2つの国の連邦国家といえる。 ただし、ふつうの連邦ではなくて、周りの国家間の「緩衝的な連邦」という意味あいが強い。 スイスも3つ(ドイツ、フランス、イタリア)の緩衝という意味で似ているが、勢力はドイツが強い。 しかし、ベルギーの場合はオランダ(フラマン)とフランス(ワロン)の勢力が拮抗している。 したがって、「すべて2つを対等にする」という原則で衝突回避をしている。
面白い例は「ルーベン大学」。 もともとブリュッセルの東30kmほどの(フラマン圏の)ルーべン市のカトリック大学として、けっこう有名な大学として知られている。 ところが、フラマン、ワロン対等の方針から、70年代(60年代だったかな?)ちょうどフラマン、ワロンの境界線に対して対称点にも(ワロン系の)ルーベン大学を設立した。 このとき、対等な大学にするために図書館の本をどう分けるか、が争点になった。 結局、傑作な解決法(?)がとられた。 「登録番号の奇数と偶数で2分した」のである。
新しいワロン系のルーベン大学の人に出会うといつも「よくご存知のルーベン大学でなくて」という枕言葉をいわれる。 去年この新しいルーベン大学に滞在されていたK先生(龍谷大学)とバーデンバーデンで出会ったときも、まずこの枕言葉をいわれた。
スイスでは、フリブールという街(首都ベルンから30kmぐらい南)は市内にドイツ、フランスの言語境界線がある。 昔、予定外にこのフリブールで1泊したことがある。 レマン湖畔のモントレーまで行く予定だったが、ベルン付近の渋滞のため時間がかかり、あきらめてフリブールで高速を降り1泊した。 そのとき、市内の川が言語境界線になっていることを知った。 それゆえ、フリブール大学ではすべての学科にドイツ語のクラスとフランス語のクラスの2つが用意されているとのことだった。 半信半疑だったので後日フリブール大学出身の人に確かめたら、本当だった。 ヨーロッパにはいろいろな事情のある国が多い。 イタリアだって国ができたのは19世紀であり、それまでは都市国家の集合だった。
ベルギーは王国である。 2つの国(?)フラマンとワロンの結合を象徴するために国王がいるという印象が強い。
投稿者 tadashi : 2005年08月17日 07:49