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2005年08月26日
ハイパーインカージョン
ベルギーの学会は「未来予測」であるが、主催者のDuboisさんの提唱するハイパーインカージョン(Hyper Incursion)をメインテーマにしている。 この「ハイパーインカージョン」を式で書くと難しそうになる。 式は、モデル表現のため、そしてコンピュータ処理のためであるので、式なしで直感的に説明しよう。 その意味するところは別に難しくない。
「時刻 t の状態」が「 t 以前の過去」から決まる、というならMM(マルコフモデル)でよい。 「ハイパーインカージョン」のモデルは、
「時刻 t の状態」は、「 t 以前の過去」、「時刻 t 」 、「 t 以降の未来」の3つ状態から決まる
というものである。
「時刻 t の状態」が「 t 以前の過去」、「時刻 t 」 の2つの状態から決まる
というだけでも、MMよりけっこう強力なモデルになる。 時刻 t を「明日の自分」と考えてみればいい。 明日「行動を起こす」ことで「明日の自分は変わりうる」からである。 なにもしなければ、MMと同じで、「明日の自分」は「今日の自分と同じ」になる。
加えて、「時刻 t の状態」が「 t 以前の過去」、「時刻 t 」の2つの状態だけでなく、「 t 以降の未来」の状態にも依存することは非常に含蓄がある。 行動を起こすことで状態が一変するだけでなく、「未来自体も変わってしまう」ということを意味している。
歴史は「ハイパーインカージョン」のモデルそのものである。 盧溝橋事件があってその後のアジアは一変したし、パールハーバーしかり。 戦前とは一変した今の日本がある。
「ハイパーインカージョン」のモデルで、数式的には「未来予測」ができそうにみえる。 が、実際はそんなに簡単ではない。 だから、この国際会議が続いている。
投稿者 tadashi : 2005年08月26日 10:26