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2010年07月28日
啓蒙書は大切
一昨日は森毅さん死去のニュースもあった。 森さんは教養担当(京大)だったので、啓蒙書をたくさん出している。 大学に入った学生に「ε-δ を教える」のが数学だから、その真意(?)を解説したりしていた。 「ε-δ はメシの種」と数学の先生の本音も云っていたが、ε-δ こそ「離散と連続」の接点である。 しかし、こういう解析的なアプローチには苦手な学生さんが多い。
これよりは、デデキンド流に「離散と連続」の関係を説明したほうが直観的である。 つまり、ε-δ は連続の立場からの表現なので、解析のわかる人にはいいが、そうでない人には意義が理解できないだろう。 まぁ、便宜的になるが、デデキンド流に説明すれば離散の立場からの理解はできるだろう。 普遍的には「コンパクト」という概念なので、もし、数学をきちんと勉強する機会があれば、「コンパクトの概念」の重要性がわかるはず。
最近、物理や電気ではマンガ風の解説書も多い。 量子力学なんかはそれなりにイミがあるだろう。 しかし、昔の啓蒙書よりどこか薄っぺら。 昨今は、コクのある啓蒙書は読んでもらえない。 啓蒙書といえども、10回くらい繰り返し読まないと理解できない。 遠山啓さんの「無限と連続」は文庫版スタイルだけど、名著。 大学入学当初ではよくわからないが、卒業ごろにはわかってくる。
どっちにしても「じっくり読む」のは苦手な学生さんが多い。 how だけでなく why を考えるようにしないと、「新しいこと」に挑戦するのは難しいと思う。
投稿者 tadashi : 2010年07月28日 08:17