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2011年05月18日
TEN 〜神戸工業のこと〜
昨日暑い夏の仕事場を書いたが、1963年の夏のことで場所は大久保(兵庫県明石市)、会社は神戸工業。 TENの商標で真空管やラジオを売っていたが、兵庫工場(神戸市兵庫区)では半導体もやっていた。 小5でラジオ少年になってたので、TENについてはよく知ってたが、松下やシャープに比べて知名度は低い会社だった。 しかし、工場実習で神戸の実家から通うのには都合がよかった。
大久保の無線技術部に2週間通ったが、工場といっても大量生産の現場でなく、開発部みたいなところだった。 TENは変な会社で、部長(課長兼任)は学位を持ってたNさんで、私の実家の数軒先に住んでいた。 Nさんは通信学会の関西支部の評議員だったし、無線機の設計担当の中にも学位を持ってる I さんがいた。 I さんは、のちに福井大学工学部の教授になった。 江崎さんは、神戸工業での仕事でノーベル賞をとった、という話もしていた。 また、研究所ではない現場で 「学位がとれる」という会社は珍しかった。 独立した研究所のある大会社ではなかったからである。
技術を誇った会社ゆえに、経営は行き詰まり倒産した。 富士通の傘下に入り、兵庫工場は富士通テン、大久保工場は富士通明石工場になった。 富士通テンの「テン」が、神戸工業時代の商標の名残りである。 富士通明石工場は、NHKの「プロジェクトX」で篠田さん(広大卒)がとりあげられたときの工場で、Nさんが当時の部長としてTVに登場された。
工場実習で書いた報告書については、ここでは省略。
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Sさんから「最近の電気のこと」についてのコメントがあります。
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「続き」に神戸工業の記事があります。
神戸新聞webニュース(2000.3〜4)より
(7)神戸工業/異端許した研究者の天国
一本の古びた論文がある。一九五一年、アメリカの物理学専門誌に掲載された。
テーマは「半導体の電子特性」。署名欄には「Leo Esaki」とある。所属は「Kobe Kougyou,Japan」。
江崎玲於奈(75)。後に東京通信工業(現ソニー)で半導体のトンネル効果を発見、ノーベル物理学賞を受賞した。論文執筆時、若き研究者として在籍していたのが、旧川西財閥の流れをくむ「神戸工業」(現・富士通テン)だ。神戸市兵庫区に本社を置き、真空管や通信機を製造していた。江崎は言う。
「研究レベルは日本でトップ。当時、アメリカの専門誌に論文を寄稿できる水準にあったのはここだけ」
江崎が入社したのは四七年。その年のクリスマス、アメリカで半導体が開発された。広大なフロンティアの誕生である。
神戸工業はいち早く、米企業とライセンス契約を結び、研究を始めた。入社二年目の江崎も研究グループに加わった。担当は、高純度結晶の製造。東通工に移籍するまでの十年間、ここで研究の基礎を築いた。
注: 東通工とあるのは、東京通信工業で、現ソニーのこと。
(後略)
投稿者 tadashi : 2011年05月18日 01:30