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ルーブル美術館(3)

 実は、ルーブル美術館にあるフェルメール作品というのは、あまり好きな作品ではありませんでした。しかし、実際に観てみると、本で見るのと、全く違うということを痛感しました。実際に観ると、これらの絵の素晴らしさに、圧倒されました。

ルーブル美術館(カルゼール橋から)

作 品 名 画像と赤○はポイント コ メ ン ト
レースを編む女




 時々来られる人たちは、口々に『小さい』という意味の言葉を発して、通りすぎて行きます。実に、緻密な作品でした。


 作品は、明るかったです。

1.頭の上で、編みこまれた髪を細かく描いてます。

2.頭の形がおかしいのでは?、と思っていた所は、それ程違和感はありませんでした。ただ、この部位は、私にはソフトフォーカスのように見えました

3.細かい糸の張った、その糸まで描かれています。息を呑むところです。ただ、手は、少しロボットのようになって来ています

4.テーブルの上の濃紺の小物入れと、少女の手の下の薄いブルーの編んでいる部位とのコントラストが奇麗である


5.小物入れからあふれ出る白と赤の糸が、見事に描かれています。特に赤い糸は、水が色んな方向に流れて、濁流を作るようです。

6.紐で締められた、レモン・イエローの表紙の本に、なぜかしら目が行きます。

7.やや傾いている台の脚の部分に、光の反射が描かれています

8.タズベルーがやや薄い濃紺で、模様に『フェルメール・レッド』が入っています


天文学者



本で見るより、ずっと奇麗でした。この色の美しさだけは、何故か、本やネットでは、わからなかったです。実にマイルドですが、しっかりとした描写です。


1.食器棚の上の本が、アトランダムに並べられているのが印象に残りました

2.食器棚の影が壁に映る描写が、本当にフェルメールらしい


3.『手作りの図表』が描かれ、これも窓からの光によって、暗いところと明るいところがあります

4.画中画『モーセの発見』の絵が架っているらしいが、明らかではない
  
5.この箇所にサインがあるが、後で書かれたものという説もある

6.この天球儀の描写は実に繊細で奇麗であり、『フェルメール・レッド』がポイント・ポイントで使われている

7.学者のコートの皺に光が中っているところと、そうでないところが見事に描かれている

8.左手の描写が見事、机を押さえている感じがつたわり、また右手はそっと、天球儀にそえようとしているのが、つたわって来る。この両手は実に素晴らしい。

9.机の上のタズベリーの描写が奇麗

10.机の下が暗い感じがよくわかる

 

 私は、この旅行で、プラド美術館で『真珠の首飾りの女』を、そしてルーブル美術館で『天文学者』を観ました。そのことによって、ようやくフェルメールが『光の画家』と言われている意味がわかって来ました。つまり、何のトリックもなく、あるがままに、光が入っているところには、そのように描いてあるということなのです。当然といえば、当然なのですが、それは写真でもなければ、本当に難しいことなのです。そして、私が思うには、フェルメールは、『小さじ一杯』だけ、明るいところは明るく、暗いとこは暗く描いているのです。だから、観る人は、フェルメールの作った世界に引き込まれるのだと思います。

(2003年3月26日作成)

 

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