「デルフトの小道」のひとつのポイントは、中に描かれている建物だと思います。この正面から描かれた建物は、実際にはなく想像上で描いたというのだから、驚かされる(⇒フェルメール・デルフトの小道・46ページ)。
しかし、丁寧に描かれた建物のレンガの色が、上下で異なることは繊細な描出である。上の階が雨風を受けるために、変色して色濃く褐色なったと考えるのが、妥当であろう。そうすると、この建物の本当の色は、2階部分と考えられる濃いい赤に近いところだろう。
建物は、年期が入っているせいか、顔の皺のごとく、剥がれているところが、多数みられる。そのことを丁寧に描いている。
マウスポインタを写真の上に載せてみてください。
普通に観られます。
「材質感を100パーセント感じさせてくれる壁面」(⇒フェルメールの眼・穏やかで容赦ない目指し・27ページ)と記載されています。確かに、この絵でフェルメールが描きたかった一つは、このレンガの壁面でしょう。本の写真からも、細かく、様々な色がつけられていることがわかります。
私は、この建物を正面から描いたフェルメールに驚かされます。そのことにより、建物に圧倒感が出ています。
例えば、下写真を見て、一見して「姫路城」とわかる人は、実際に訪れたことがある人でしょう。建物は見る角度でかなり異なって来ます。この写真は、今年の春、姫路城の天守閣を真下から撮ったもので、やはり聳え立つ感じで圧倒されました。