ホーム>皆フェルメールにだまされている?>未来が先?過去が先?
フェルメールは、先生と少女の音楽のレッスン風景の絵画を、2作品描いている。それは、「音楽レッスン」・「中断されたレッスン」です。
音楽レッスン | 中断されたレッスン |
1662〜65年頃制作 | 1660〜61年制作 |
私のような凡人が考えますには、稽古が始まって、それから、トラブルで中断と考えます。ですから、先に「中断されたレッスン」が作られるとは考えにくいのです。ところが、フェルメールは、「中断されたレッスン」でできなかった、さらなる完成をもとめて「音楽レッスン」を作製したのです。「音楽レッスン」では、構図の完成された作品となってます(⇒フェルメール論・洗練の様式・109ページ)。
これと同じことが、別の一連の作品でも言えます。それは、「ワイングラスを持つ女」と「ぶどう酒のグラス」です。
ワイングラスを持つ女 | ぶどう酒のグラス |
1659〜60年制作 | 1658〜60年制作 |
1660〜61年制作(フェルメール論) | 1658〜59年制作(フェルメール論) |
普通に考えれば、ワインを飲む前の、「ワイングラスを持つ女」が先で、飲んだあとの「ぶどう酒のグラス」があとになります。
ところが、専門家の間ではこの二つの作品には、同じようで大きな違いがあり、「ワイングラスを持つ女」にこそ、フェルメール独自の世界が繁栄されつつあるそうです。(⇒フェルメール論・第5章洗練、完成、そして停滞・105〜107ページ)。これは、本当に(○o●;)です。フェルメールは、この短い期間に、自分の変革を示すために、ほぼ同じ題材で、グレートアップした作品を示したのです。
フェルメールの凄さは、過去の作品を見直した時に、さらに素晴らしい作品を、時間に逆行して作ったことです。