北京漂流記
by kana

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3日目:気功〜音楽学院見学〜民楽コンサート鑑賞
(2001/12/28)



研修2日目。
7時起床。
昨日通訳さんに「寝る前にコップ3杯の水を床にまいておけばいい」と言われ、その通り実行したからか、昨日ほどのどの痛みはない。
相変わらず右腕が激しく筋肉痛。

ホテルのブッフェで朝ご飯。
お粥をメインに食べる。それ以外は炒め物中心の油っぽいメニューばかりだし。
ブッフェで日本語が聞こえたので振り向くと、京都江南絲竹会のメンバーだった。
全く言葉の聞き取れない状況に馴染んできたので、不意に理解できる言語が聞こえてくると返って戸惑う(笑)
両替カウンターをのぞくと、さらに元が値上がりしている。

予定では、今日から3日間はティエンパパの部屋で順番に二胡のレッスン。
今日は午後から某音楽学院見学が入っているので、レッスンは午前中のみ。
二胡の老師がホテルに来られるのは9時半とのことで、それまでテレビを見たり、練習したい人は練習したり。
テレビはNHK−BS1とBS2は入るんだけど、副音声優先になるのか、BS1はずっと英語放送だし、BS2は趣味の番組なので、日本国内のニュースが全く分からない。

老師と通訳さんが到着されたとのことで、ティエンファミリー、コンさん、カオさん、パイさん、チエンさん、私の生徒全員がティエンパパの部屋に集合。
挨拶もそこそこに、老師の講義が始まる。どうやら今日は生徒全員で気功のレッスンらしい。
キーワードは「意気力」。
みんなで枕をたたいたり瞑想したりして、気を感じ、気を手に込める練習をさせられる。
老師曰く、「気功にはいろんな種類がある、そのなかで二胡に必要なものをトレーニングしなさい。」とのこと。
老師は当然中国語だし、通訳さんの通訳スピードを気にせずどんどん話して行かれるので、話の内容が追いつかない。
ティエン坊やが頭痛で自室に戻る。

次に、一人ずつ弓の推し引きとビブラートをさせられる。
それで腕の筋肉の動き方を調べているらしい。
結果、パイさん以外は全員腕の筋肉の使い方を間違っている、と。
二胡を弾くときには、右腕も左腕も、肘から先(前腕)の筋肉を使ってはいけない、とのこと。
使うのは左右どちらも肘から上(上腕)の筋肉で、手首も上腕からの筋肉の動きで自然に揺れるのはいいのだけど、わざと手首を動かすことは厳禁だそうで。
腕の筋肉を調べるために老師が私の上腕のつかんだとき、それが筋肉痛の部分を直撃したものだから、思わず派手なうめき声を上げる。
とりあえず私は老師に、筋肉の使い方をマスターするまで(最低半年間)は二胡に触ってはいけない、との言葉をいただく。厳しい。
でもマスターするまで待ってたらあっと言う間に歳を取っちゃうよ。

昼前、ひとまず全体講義終了。
ここからティエンパパ、チエンさんが二胡レッスンを受けることになり、コンさん、カオさん、パイさん、私の4人でご飯を食べに行くことにする。
店はホテルの近くの、中華ファーストフードのチェーン店。
北京に行ったことのある人なら知ってるんじゃないかな、あの某フライドチキンのおじいさんそっくりの看板のお店(笑)

みんな中国語が出来ないので、メニューを指さしての注文となる。
メニューは中華点心とか麺類とか。
私はラーメンが食べたかったのだけど、辛さが分からなくてだいぶ迷う。激辛麺がきちゃったら悲劇だし。(辛いの苦手。)
結局肉味噌のトッピングされたラーメンを頼んでみる。15元。
食べてみるとそんなに辛くはなく、スープも麺もおいしかったんだけど、ただ上に乗せられたピータンと細かく刻まれた香菜に閉口。
ピータンはどければいいんだけど、香菜はどけることもできず、最悪。(--;;

ファーストフード店を出て、近くの市場でお買い物。
とにかくみんな、ミネラルウォーターを確保する。国産1.5リットルで3.5元。
それから私は夜食にするために、缶ビール(2元)とスナック菓子(9.5元)を買う。
中国は消費税がないので計算しやすい。地元の人が日常の買い物に来る市場なので安いし。
ホテルに戻り際、偶然京都江南絲竹会のメンバーの一人とすれ違う。近くのデパートに買い物に行くんだとか。
中国語が出きれば自由に買い物できていいな。

その後は部屋に戻って休憩。
午後からの予定は、某音楽学院見学。
14時30分に音楽学院に案内してくれる学生さんがホテルに来るので、その時間にロビーに集合という連絡が入る。
外出するので思いっきり着込み、定刻にロビーに下りてもメンバーは誰もいない。
まもなく、集合が15時10分に変更になったとの連絡が入る。
もう15時前だしそのままロビーにいようということになりホテルの売店をのぞいてみたりするが、厚着で暑いし、ロビーの椅子は全てふさがっているし、荷物を預かっていたこともあって両手ふさがっているし・・・。次第に気分が悪くなってくる。最悪。

結局みんな揃ったのは15時半。
(案内の学生さんはとっくに来てて誰かの部屋にいたらしいんだけど。そのあたりどういうことになっていたのか謎。団体行動は連絡不備があると疲れるね。異国じゃケータイも使えないし。)
私は1時間も厚着で荷物持って立ちぼうけで疲労困憊。
出かけるのやめようかとも思ったけど、でもここで単独行動になったら夜コンサート会場に自力で行かないといけなくなるし、まだ街を一人で歩く根性がなかったので、とりあえずみんなと出かけることにする。

話は前後するけど、ロビーで待ちつくしてるあいだ、二胡を抱えた若い男女のグループがホテルに到着するのに遭遇。
チェックインの様子を聞き耳を立てて見ていると、どうやら日本人ツアーのよう。まだ若く、大学生っぽい。
この人達も二胡レッスンツアー? どこかの教室の人、それとも大学の二胡サークルの研修かな。
話しかける勇気がなかったのが残念。

さて、音楽学院に案内してくれるのは、二胡の老師の弟子で、その大学の学生さん。参加者は生徒全員ともちろん通訳さん。
学生さんの先導で地下鉄に乗り、少し歩いて、音楽学院到着。昨日打楽器の老師と待ち合わせたところである。
学生さんの案内で、講義棟、練習棟、図書館、コンサートホール等を回る。
ずいぶん古い建物とのことだったけど、外壁はわりときれい。

練習棟を見学していたとき、案内の学生さんが練習中の生徒さんと交渉し、古琴、古箏、それに二胡の練習風景を見学させてもらえることになった。
古箏を専攻していた女学生さんは現在2年生で、6歳から始めたとのこと。ふえ〜。
二胡を専攻していた学生さんの二胡には、微調用に分数バイオリン用の調弦用アジャスターが取り付けられていた。本場中国でも使われてるのね。

夕方になり、案内の学生さんの紹介で、学生食堂で夕食を取ることにする。
学生さんは教授に呼ばれているとのことで、ここでお別れ。
学食は1階が学生さん達が食べるファーストフードの屋台みたいなところ、2階は来客や教職員が利用するちょっと立派な食堂みたいなところになっていて、私たちは2階で食べることに。

主食は白ご飯とラーメン。麺は細麺でコシがなく(ゆですぎたソーメンって感じ)、スープも独特の風味があり、ちょっと私の口には合わない・・・
他の炒め物系はどれもとてもおいしかったけど。
余るほど注文してお腹いっぱい食べてジュースも頼んで、それでも1人あたりの値段はお昼の私のラーメンとほぼ同額。安い。
しかし中国のお茶って茉莉花茶(ジャスミンティ)が標準なのね。ジャスミンの香り、苦手なんだけど・・・

その後、民楽コンサートに行くので音楽ホールに移動することにするが、コンさんは疲れたというので地下鉄でホテルに戻ることに。
パイさんチエンさんも忘れ物をしたというので地下鉄で一旦ホテルへ。
残ったティエンファミリーとカオさん、それに私と通訳さんは、地下鉄に乗り、西単駅で下りて音楽ホールまで歩く。(ホール名忘れた。プログラム(3元)は買ったけど中国語読めないし。)

音楽ホールはきれいでパイプオルガンの設備もあり、本格的。
チケットも50元〜500元で、通訳さんいわく、中国の物価で考えると結構高値とのこと。
そう言われれば、着飾った人たちもいてたな。私たちは厚着優先で、ヤッケズボンみたいなのはいて、外見も何もあったもんじゃなかったけど。(^^;;
今夜の出し物は『二泉映月−中国民楽名曲新年音楽会』、演奏は「中国歌劇舞劇院民楽管弦楽団」。
最前列真ん中の席(200元)で、うっかり寝てしまわないか激しく心配する(爆)

開演前に、カオさんとトイレに行くことに。
中国ではトイレのドアが壊れていることが多く、私たちはトイレは連れだって行き、順番に扉の見張り番をする習性がついていたのだった。

そのホールのトイレはまず洗面所があり、その奥の扉を開ければトイレの個室が並んでいるレイアウトになっていた。
私とカオさんはまず洗面所を通り、個室に続く奥の扉を開けると・・・ 女性が用を足していた。個室のとびら全開で。
中国のトイレは扉側を向いて用を足すようになっているので、その女性も平然とこちらを向いている。
硬直する私とカオさん・・・ たぶん一生忘れられない光景だろう・・・
そりゃー中国は、もっと地方に行けば地面に穴が掘ってあって、そこにみんな並んで用を足すところもあるらしいって聞いたことくらいはある。だけどここは首都北京の高級音楽ホールだよ?!

しかもそのトイレ、個室の仕切りが低く顎から鼻の辺りまでしかないので、衣服を直すために立ち上がると、扉の前に並んでいる人々や隣の個室で作業中の人たちと目が合う・・・ カルチャーショックだわ・・・
その後帰国するまで私とカオさんは中国のトイレ事情について熱く語ることになったのだった。(^^;;
(なお北京では使用したトイレットペーパーは水洗トイレに流してはいけない。個室の中にあるくず入れに入れる。トイレのパイプが詰まるから。トイレットペーパーは高級ホテルをのぞいて基本的に備え付けてない。またノックの習性もないので、ノックをしても返事が返ってこない。鍵をかける習慣も行き渡ってないので、空いてると思ってドアを開けると真っ最中だったということもあり。^^;;)

そして開演。パイさんチエンさんも、少し遅れたけどなんとか間に合う。
演奏は、民楽合奏に、琵琶、柳琴、二胡、板胡、古箏、京胡、スオナーの独奏もあり、また大鑼+小鑼+小シンバル2つによる打楽器アンサンブルもあって、おもしろかった。
特に打楽器アンサンブルは、昨日打楽器の老師が言いたかったことはこういうことだったのね、ということがよく分かって見ごたえがあった。

通訳さんが、前の方が楽器や演奏法が見やすいだろうと最前列の席を手配しておいてくれてたおかげで、見やすかったし足も伸ばせて助かった。
でもスオナー独奏の時は鼓膜が破れるかと思ったわ(笑)
二胡の奏者は、二胡の台座の下に、滑り止めゴムシートを貼り付けていた。
うちの教室でも台座の下に三味線用滑り止めゴムシートを貼るのが流行ってるけど、本場のプロも同じことをやってるのが分かってちょっと安心。

演奏はプログラム通りに終了。カーテンコールもアンコールもなし。あっさりしてるのね。
あと演奏中にケータイ電話の着信音が客席で頻繁に鳴り響いてるのも、日本の音楽コンサートとは違うところ。
終演後チエンさんがトイレに行ったのだけど、やっぱりカルチャーショック受けて戻ってきた(笑)

この後通訳さんと別れ、タクシーでホテルへ。
タクシーの中ではカーラジオがかかっていて、曲は偶然にも「花好月圓」だった。(コンサートで聴いた曲。)
テレビを見ていてもよく民楽が流れている。

寒さも乾燥も平気だけど、足がむくんで辛い。1日中ブーツだし。
順番にお風呂に入り、午前0時45分に就寝。

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