北京音楽留学体験記
by てんてん

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(2001/2/17)
第十四話:「弓が長くなるの巻」


 お久しゅうございます。てんてんでございます。
蔵にこもり続けてはおりますが、とりたててなんの進展もなく日々は過ぎようとしています。

 さて、今回のお話のこの頃、北京はだんだんと夏に近づき、西瓜うりの馬車をよく見かけるようになります。(最近は見かけ無いなあ。北京も変わったし。)

 レッスンはというと、基礎改造計画のおかげで、左手の運指はずいぶんと安定してきたものの、長弓がのびやかな音になりません。
 力の抜き具合や接弦の感触などの身体的な感覚が、心の焦りや、二胡を持つ年数の浅さもあって、なかなかつかめません。

 Z老師は、長弓練習をいくつも指示して下さいましたが、なかなか感じがつかめず、壁にぶちあたりました。
 ある日のレッスンで、Z老師が言いました。
「てんてんや、二胡では何が一番難しいと思う? 左手でなく、右手なんだよ。弓の制御が一番難しい。」
と、そして、たくさんの弓から、一本長いのを出してきて、
「これは弓子大王の作った特注の練習用弓です。これをあげますので、しばらく、これで、ひいてみなさい。」
 とのことでした。

 その弓は通常の弓より10センチは長い弓でした。弓の根と弓の先をしっかりひこうと思うと、弓に振り回されてしまいます。

 最近では蘇州の弓のもので、長いもの、上海でも長いものを見かけますが、前までは、珍しく特注ものだったようです。
 それぞれの演奏家は自分の特性によって、弓を特注したり、弦を改良したり、好みの千金を作り出したりと工夫を重ねているようです。

 この長弓の問題はずっと、ひき続いています。これ以降も、Z老師は様々な改善策を講じて下さいました。気功による呼吸方法の改善、身体全体の問題として、運動のすすめ(毎朝のジョギング)、毎朝の枕叩き(カンフーの練習みたいなもの)など、体育会系の改造計画となったのでした。
 運動音痴の私にはとっても辛い改造計画だったのです。

 しっかし、このお陰で、肩こりも頭痛もなくなり、肉食の健康な人間に改造されていったのです。



*運動メニュー:
  • 一例
     毎朝枕に向かって「はいっ」とかけ声をかけながら、枕を一撃します。これを、呼吸を整えながら、10回するものです。
  • 二例
     二胡の練習を始める前には肩より少し広く歩幅を取り、立ちます。そして、呼吸を整えます。太極拳の最初の部分の様な感じで、呼吸は深く、丹田まで。それから、手のひらを合わせ、ゆっくり離して行きます。その時に手の中心がひやりとすれば、気功の感じに近いそうです。
     「Z老師、ひやりとしないよ。熱いよ。」というと、「それでも結構」だそうです。
     最近では、何をしているかというと、以前に痛めていた右手のために、太極剣の部分動作と、コップ回しをするという変な動作にこっています。
     皆さんの鍛錬の方法はいかに???

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