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フェルメール展の作品の感想(4)

 第四室、ここが最後ですが、最後に大作『絵画芸術』を持って来られました。訪問する人、全てを納得させる作品を最後に持ってくる。サッカーに例えれば、ゴールキーパーは、オリバー・カーンを配置するようなものです。フェルメール作品32作品全てを持って、構成にあたったとしても、私は最後に来る作品は、この作品だと思います。


 ただ、フェルメール・ファンなら、そのすぐ傍に、『恋文』を置いた計らいこそ、通だね!、と賞賛したいですね。最後の部屋に、どんと『絵画芸術』が置かれ、その傍に、そっと『恋文』がある、素晴らしい!


絵画芸術


この作品は、お目当てのひとつです。


会えることを本当に楽しみにしていました。

想像通り、素晴らしい大作でした。


1.このシャンデリア?が奇麗に描写されて、絵全体を格調高いものにしています。


2.地図が丁寧に、皺も残さず描かれています。箇所・箇所にフェルメール・レッドが使われてます。

3.ベレー帽をかぶった画家は、筆を軽く握り、モデルの月桂樹をキャンバスに描いています。

4.この月桂樹をつけた女性は、今までのフェルメール作品で描かれた女性と違って、実に艶があり、色っぽいです。とても魅力的です。


5.左手に持った本の表紙のレモン・イエローがとても奇麗です。


6.右手に持ったラッパ?は、とても長く感じられました。

7.机の上には、マスクのような彫刻が置かれています。

8.カーテンが奇麗に描かれてます。模様の中にも月桂樹が描かれているように思えました。

9.タベトリーかテーブル・クロスか、黄色と黄緑のものが、とても奇麗です。



 10.画家の投げ出された足のソックスの上の、フェルメール・レッドの部分が、とても奇麗で、印象に残ってます。


 11.手前のイスは、シートが茶色です。このイスの下の横の部分だけが不揃いで、人間が描いたことを実感させました。


 この作品は、『フェルメール作品』の中でも、異質の大作と言えると思います。まず、このようなモデルは、現実には存在できません。これだけのものを持ち立ち続けることは、不可能でしょう。

 また、画家がフェルメール自身であれば、その後ろ姿を実際に見ながら、描くのは不可能でしょう。


 ですから、この絵は現実ではあり得ないはずなのに、まるで、そこにあるように、実に、写実的に描かれていて、11.以外に、全く欠点がないのです。


 この絵を画家の頂点に考えるのは、至極当然のことかもしれません。


恋文


この作品は、昨年夏に観ました。

ただ、もっと暗い感じだった、と思いました。

懐かしく思えたのと、異国の地で会えたことを嬉しく思えました。


1.堂々とした召使いの貫禄に圧倒されます。

2.若い女主人は、白目を向き、召使いと、アイコンタクトをしています。


3.ネックレスが奇麗に、丁寧に描かれてます。


4.渡された手紙に、ドキドキするものが、感じられます。


5.この胴巻きが、フェルメール・ブルーともいえる、鮮明な青色です。

6.サインが、明らかに見られます。


7.散らかった部屋の様子が伝わって来ます。


 この絵を、アムステルダム国立美術館で、最初に観た時から、私は大好きです。

 一度、盗難にもあっているので、無事帰るよう祈りました。

 夏に、アムステルダム国立美術館で会えるのが、楽しみです。


 第四室で終わりですが、私は、何度も第一室から、第二・第三と、行ったり来たり、しました。第四室を出れば、もう入って来れません(もう一度切符を買って入れば別ですが・・・)。


 最高傑作、『絵画芸術』を見て出れるのだから良いだろう、と自分を納得させるのですが、中々踏ん切りがつきません。最後に、もう一度第三室に行き、『窓辺で手紙を持つ女』を見て、次に会う時は、この手紙が、嬉しい知らせか、悲しい知らせかを、自分の中で決着をつけることを、約束しました。そして、『恋文』を観て、またお会いしましょう、と出ました。


 どうしてかはわからないのですが、『絵画芸術』を観て出たくなかったのです。私は、このフェルメール展の最後を、『恋文』か『窓辺で手紙を持つ女』を観て終わりたかったのです。それは、私だけでしょうか?わかりません。私には、傑作と愛せる絵とは、別なのではないかと思えます。つまり、フェルメール作品で、愛せる絵というのは、『恋文』や『窓辺で手紙を持つ女』、『真珠の耳飾りの少女』・『窓辺で水差しを持つ女』・『天秤を持つ女』などで、傑作というのは、『絵画芸術』・『デルフトの眺望』ではないでしょうか?


 私たちフェルメール・ファンの中には、そういう絵を求めて旅をしている人が、いらっしゃるのではないでしょうか?

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