ホーム>コメントしなかった作品>合奏>画中画
合奏の絵の一つのポイントは、画中画でしょう。ハープシコードに描かれている風景画と壁の二つの絵をあわせるとこの絵の中には、3枚の画中画が描かれていることになります。これは、フェルメール作品の中では、多いい方です。
そのうち、二枚(壁の左の絵とハープシコードの絵)は、風景画です。壁の絵は、ハーレムのヤコブ・ファン・ライスダールの絵といわれています。木立と空が奇麗な風景画です。
三つの画中画の中で、一番のポイントは、歌う女性の後ろの、ディルク・ファン・バビューレンの『取り持ち女』でしょう。この絵は、フェルメールの『ヴァジーナルの前に座る女』にも画中画として、描かれているため、多分フェルメールの家にかけられていたものと考えられています(⇒フェルメール・92ページ)。
この『取り持ち女』の絵は、楽器(リュート?)を弾く女性を、男性二人がくどいているという絵です。1622年にキャンバスに油絵として描かれ、大きさは、縦101cm×横107cmで、今ボストン美術館にあります。男性二人と女性一人というのは、合奏の登場人物の反対です。
この絵が掛けられていることにより、『寓意』が合奏にもこめられているのではないか?、という考えが成り立ちます。その寓意は、ヘラルト・テル・ボルフ(4)に似たものになります。そうすると、歌う女性が、『やりて婆』になることになり、かなり、難しいです。
実際の画中画を観てみたい気持ちは、皆おこると思います。この作品が、盗難にあったまま(⇒ガードナー美術館事件)のため、観れないのは本当に残念です。
この絵は、『快楽』を表すものなのでしょうか?
(2002年10月9日作成)