楽譜を読んでみよう その1
※わかってくれていると思うが、文中特に指定が無い限りベートーヴェンの曲に関することである。
このサイトでは、いたるところに譜例がある。楽譜(*1)が読めると何が良いかというと…買うための金はかかるし、譜面を置く場所が必要になるし…ナニ、デメリットばかり? いやいやそんなことはない。「面白い」という知的好奇心を満足させるという重要なメリットがあるのだ。人類にとっては小さな一歩かもしれないが、個人にとっては偉大な一歩ではないか。
*1
ここでは、主に複数の楽器が並んでいる楽譜を指す。日本語で「総譜」。スコア(score)と呼ぶのが一般的。
ベートーヴェンの全作品を用意しようとしたとき、実は楽譜を置く場所はそれほど広くを必要としない。ほぼ全作品をA5サイズのポケットスコアで買い揃える場合には、幅60センチの本棚が3段あれば、なんとか収まるのだ。意外と少ないでしょう? でもお金はバカにならなかった。主要作品はA5サイズの国内版がある。しかし、マイナーな作品は輸入に頼るしかない。ほんの数ページしかない作品でも輸入してもらうと船便込みで1000円以上の値段になるのだ。20年ほど前の話だが。また、そのようにA5サイズで揃えることができるのは、いわゆるブライトコプフ&ヘンテル(*2)の旧全集版とかペータース版(*3)の楽譜のみである。
交響曲などでの最新の原典版(*4)については、やっと今世紀に入って出版が始まったので、揃えることができるようになった。
*2,*3 どちらも楽譜の出版社
*4
原典版を使う演奏は少ないが、使用している演奏は必ず明記されている。話題作りのために嘘の記載をする場合もある。
しかし、今や時代は変わった。無料で楽譜を揃えることができるようになった。サイトはこちら。ベートーヴェンのページにリンクしてある。
↑主なコメントが、自動的に日本語で表示される。曲名は英独伊仏語あたりになるので、欲しい曲をがんばって探してほしい。
↑交響曲第6番「田園」のページ。"Full Scores"とあるのが、全ての楽器が並んだ楽譜。楽章毎に別れている場合もあるが、"Complete
Score"は全楽章が1つにまとまっている。この曲の場合、自筆草稿(Composer's
Manuscript)、ブライトコプフ・ウント・ヘンテル初版(First edition)、ブライトコプフ・ウント・ヘンテル旧全集版(19世紀後半)という順に何種類も並んでいる。参考演奏(録音ファイル)が用意されている曲もある。
著作権の都合上、最新の原典版はここで得られないので購入するしかないが、ブライトコプフの旧全集版などならこのサイトでOKなのだ。本当は印刷したほうが使いやすいんだけどね。印刷するくらいなら製本済みの国内版を買ったほうが安くなるかもしれない。文章による曲の解説が欲しい人は、楽器店などでそういった正規の国内版を入手してほしい。需要が少ないので見た目は割高であるが、A5サイズでおよそ一冊1000円弱だ。ただ、日本語の解説はあくまでもうんちくを得るためのもので、楽譜を読むことには役立たない。
さて、どんな曲の楽譜を見て楽しむことにしようか。
次のページ
(2011/5/30)