「眠る女」のひとつのポイントは、「娘の背景」でしょう。娘の後は、左側の壁に多分、いつものキューピットの絵が描かれてます(⇒フェルメールは、キューピットがお好き?)。さらにそのすぐ右に、娘の上着(夫の上着)か、ボロ雑巾のような服が掛けられてます。
ドアは開かれて、その奥に別の部屋が見られます。ソファと鏡(絵画?)が描かれています。私が、Catch eyeして面白いと思ったのは、ドアの取っ手です。良く見るとドアは、鍵がかけられるようなものなのか、半月のようなものがついてます。17世紀のドアは、きっとこのようなものだったのでしょう。
実は、この別の部屋には、ソファが描かれる前に、後ろ向きの犬と男性が描かれていたそうです。試行錯誤のうえに、前景に視線が集中するような構図に変更したそうです(⇒フェルメール論・《眠る女》の空間構成・85と86ページ)。確かに、奥に男性と犬が描かれていたら、そちらに目がいったでしょう。
マウスポインタを写真の上に載せてみてください。
普通に観られます。
ただ、私には、この絵がそんなに奥行きがある絵には見えません。ドアの影もなく、この絵の後に描写されるようなすばらしいものを感じられません。「眠る女」と「牛乳を注ぐ女」と比較してみてください、後者の方が背景の描写が素晴らしいことが、よくわかります。まだ、未完の大器といえるでしょう。
(2002年7月9日作成)
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