ライブスチームの運転


782. ”安全”について (その6)  (R6.2.17掲載)

 (その5の続きです)

3.列車の安全(続きです)
(11)蒸気機関車の場合、走行中は、圧力計と水面計の監視、投炭、軸動ポンプなどからの給水量調整などのため、 電動車両と違って、前方を常に見ているわけにはいかないので、前の列車との距離をしっかりとると共に、 曲線走行時における乗客の皆様の落下防止などのため、速度の出し過ぎにも注意します。 一部のメーカーさまは5km/h以上出さないよう、注意喚起しています。 実際に試してみると、感覚としては7km/hでは速すぎると思われ、せいぜい6km/hまでとした方が無難です。 なお、速度計を機関車又は運転される方が乗る台車(タンク機の場合など)に装備するといいと思います。
AT-67 AT-67
 私はOS製軽量形の乗用台車の前方左側に速度計を取り付けています()。 只今、3.8km/hと表示しています。 なお、速度表示の下の数値は時刻で、 10時57分を表しています。 なお、速度計については、21.速度計  (H27.12.5掲載) を参照してください。


(12)前の列車が通った直後だからといって、”安全”であるとは限りません。 前の列車の乗客の皆様がハンカチやタオルや幼児の靴や、最近はスマートフォンを落とされる方がいらっしゃいます。 線路上に落ちていたら、脱線してしまうかもしれません。 特に夏場はハンカチやタオルを落とされる方がいらっしゃいますので、前方に注意します。


(13)走行中に投炭する時は、ショベルを線路上に落とさないよう、注意します。 また、上着の袖を引っ掛けて、火かき棒やショベルを線路上に落とさないよう、注意します。
ショベル()と火かき棒()です。


(14)おおぜいの乗客の皆様を乗せた列車を牽引する場合、重量がかかった乗用台車に後ろから押されて、 駅の停車位置をオーバーしてしまう恐れがあります。 前の列車が駅などで停車中の場合、追突しないよう、早めのブレーキが肝要です。
駅に停車するときは、停車中の前の列車に追突しないよう、早めに加減弁を絞って速度を落とし、 ブレーキハンドル()を引きます。


4.運転される方の安全と姿勢
(1)衣服は煙突から火の粉が飛んできても燃えにくいもの(綿100%製など)が好ましく、 火傷防止のため、夏場でも長袖、長ズボンを着用した方がいいと思います。 また、手袋(軍手より、熱湯が浸み込まない、通さない革製などが好ましい)をはめ、帽子をかぶります。 そして、私は安全靴を履いています。台車などの重い物を持ち上げたとき、誤って足先に載っても保護されます。 最近は軽量なものが市販されています。更には防塵メガネをかけるよう、注意喚起しているメーカーさまがあります。 ”気を引き締める”ためにも、身なりをキチンとした方がいいと思います(10.運転時の身なり (H27.11.12掲載)を参照してください)。
作業用品店で購入した革製の手袋です。軍手より、いいです。


(2)飲酒運転は厳禁です。夏場は暑い上に石炭を焚くゆえ、余計に暑く(感じるだけかもしれませんが)、 昼休みには冷たいビールでも飲みたいところですが、運客終了後の晩酌まで楽しみにとっておきましょう。

(3)常に冷静であること。油断や焦りは禁物です。不測の事態発生時は、慌てることなく、 冷静に対処することが大切だと思います。 もし、有火状態において、全給水機能が失われたら、冷静に火室の火を取り除きます。

(4)機関庫内・作業場内・倶楽部ハウス内の整理整頓や清掃にも配意します。 汚れた・乱れた環境は、事故や怪我のもとだと思います。

(5)万一の事故に備え、ミニ鉄道保険に加入することが望ましいと思います。

(6)ライブスチームの運転には、国家資格は必要とされていませんが(逆に、 資格が持っていなくても、法的に運転可能と聞いたこともありませんが)、 ボイラーの構造や取扱いや燃料・燃焼に関する知識などを習得するために、 ボイラー技士の資格を取得することも一考かと思います。 最近は保有資格を問わる乗客の方が稀にいらっしゃるようですので、万一問われたときに応えられますし。 (R6.4.21追記)なお、ボイラー技士については、791.”2級ボイラー技士”について (R6.4.21掲載)を参照してください。


5.私の失敗の紹介
 運客走行における安全に関する私のこれまでの失敗の一部を紹介します。こういったことの無いよう、努めます。
(1)運客して駅に到着後、ライブスチームに興味を持たれ降車されたご夫婦との会話に夢中になり、 水面計の監視がおろそかになり、ボイラー水位の低下に気づくのが遅れ、急いでハンドポンプで給水しようとしたが、 都合悪く、機関車のサイドタンクの水が欠乏しており、更に給水が遅れた。
   原因:水面計の監視の怠り

(2)駅で停車したところ、何やらいつもは聞かない音がする。 原因は、走行中、軸動ポンプのフィードバックバルブの開閉操作時に、 インジェクターに蒸気を送るバルブに誤って触れて開けてしまい、インジェクターのあふれ管より、蒸気が噴き出ていた。 しかも、ボイラーの水は水面計から見えなくなりそうなくらいまで減少してしまった。 走行中は列車の走行音で気づかず、停車して、はじめて異常に気がついた次第。
   原因:機器操作誤り

(3)軸動ポンプが不調なまま運客していたところ、ハンドポンプも故障してしまい、慌てて庫内に戻り、 火を落とした。ドンキーポンプも装備されていたので、それで給水しながら庫内に戻った方が良かったのに、 そのことに気づかなかった。
   原因:機器整備不良、横着、焦り

(4)運客走行中、異常音がすると共に、小さな振動を感じたが、そのまま走行を続け、 駅で停車しようとしたところ、乗用台車のブレーキが全く効かず、両足を地面につけて、列車を停車させた。 原因は、枕木を固定するネジが、なぜか上に高く突き出ているところに、乗用台車のブレーキ部品が接触し破損したため。
   原因:運客前の線路設備点検が不十分、異常時の対処が不適切

(5)運客走行中、ポイントが側線側に切り替わっていることに気づかず進行し、本線から側線に進入し、 側線で留置中の列車に追突しそうになった。 直接の原因は、運営スタッフが側線に列車を留めおいた際、ポイントを本線側に戻すことを忘れていたためですが、 いつもポイントは本線側になっているので、私が大丈夫だろうと思い、ポイントの確認を怠ったこともあげられます。
   原因:前方不注意、ポイントの未確認

(6)ポイントが、やや途中で止まっているように見えたものの、大丈夫だろうとそのまま進行したところ、 機関車と次位に連結の乗用台車が、左右別々の線路に進入し、脱線・停止した。 自分で遠隔でポイント切替操作する場合、確実に操作すること。 ポイントが中途半端な場合は手前で停車し、確実に動作させてから進行します。
   原因:ポイント切替操作が不確実、ポイントの確認が甘い
 白馬ミニトレインパークのえぽっく駅に進入するポイント(内)です。 やや甘かった(少し隙間があった)のですが、大丈夫だろうと思って進入したところ、OS製コッペルが脱線してしまいました。 しっかりと確認し、隙間があったなら、手前で停車すべきでした。


最後に
  ライブスチームの運転は、視覚・臭覚機能を働かせて、乗客の皆様や線路状態、 機関車の水面計や圧力計の監視などを行うと共に、聴覚機能を働かせて、異常音がないかなどにも注意します。 更に、経験からくる”勘”も働かせて、安全には充分に注意したいと思います。 趣味がゆえ、楽しみたいからこそ、事故・怪我の無いよう”安全第一”に努めます。 折角の蒸気機関車の快調な走行による”快感”を台無しにしないためにも。

(その5へ戻ります)  


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