「メルクリンvs魔魚」
VS
メルクリンの視界をさえぎる闇はいつしか黒き大海と化し、メルクリンを濡らす。
メルクリン「ぺっぺっ! 黒い海でもやっぱりしょっぱいじゃん!うー、どこいったじゃん魔魚のやつ~…」
水中に没した魔魚は完全に気配を絶ち、姿を見せない。
メルクリンの前方で黒い水飛沫があげる!
メルクリン「そこじゃんっ!? 聖フック! うっひゃあ!」
魔魚「ぎゃっはっはっ!残念残念残念賞!俺様こっちだ~!ぱっくんちょっ!」
メルクリン「ひーーーっ!!なんで!?そんなのずっこいじゃん!」
メルクリンが聖フックを放った直後に、魔魚が「後ろ」からとびかかる!
からくもかわすメルクリンだったが、服の一部が破られてしまう!
魔魚「なかなかすばしっこいな~、一本釣りの孫の孫~。だーけどそれならそれで楽しいってもんだ~!」
メルクリン「ふざけた事いってんじゃないじゃん! こんにゃろ!こんにゃろ!こんにゃろ!」
ばしゃんっ!ばしゃんっ!ばしゃんっ!
ふたたび海中に消えた魔魚めがけて聖フックを連発するメルクリン!
だが針は虚しく海水に漬かるばかりだ。
しかし攻撃をやめると、途端に魔魚がおそってくるので闇雲にでも攻撃は続けていなければならなかった。
メルクリンの緊張はいまや頂点に達しようとていた。
メルクリン「くき~っ! こうなったらガチンコ漁で…」
謎の声(…ちつけ。)
メルクリン「へっ!? いま…誰かなんかいったじゃん!? もちつけ!?」
謎の声(落ち着くんだ…メルクリン。闇雲に放っても魔魚は捕らえられない…)
メルクリン「うひぃええええっ!? 聖フックがしゃべったじゃんっ!???」
謎の声(……相手の作戦にはまってはいけない…。逆にそれを利用し…油断させるんだ…)
メルクリン「そんなこと言ったって、そう簡単にいくわけないじゃんっ!」
謎の声(エサが…必要だ…奴が欲しがっているものを…与えてやるんだ…)
メルクリン「はあっ!?」
そんなメルクリンを海中から見上げる魔魚。
魔魚「なにを独り言を言ってるんだアイツは…? 食われる恐怖からとうとうおかしくなったのか? それなら…うりゃっ!」
自分のアイテムに向かって独り言を続けているメルクリンめがけて、ふたたび水面近くまで上昇してくる魔魚!
しかしその目に見たのは…
魔魚「あっ、水面に浮いてるアレは俺さま大好物の!!」
そう!天聖界釣り人御用達!高級撒きエサ「ごませんまき」だ!
たまらずむしゃぶりつく魔魚!
魔魚「オーウ! 俺様グルメほっぺた落ちそう! ん~んいいかおり!モグモグモグ…はっ! しまった!つい夢中に!」
慌てて周囲を見渡す魔魚に聖フックが飛んでくる!!
油断していた魔魚の巨体を糸がぐるぐる巻きにする!
魔魚「ギョッヘー!」
そのままゆっくりと引っ張られる魔魚!
魔魚「に、二度と釣られてたまるかああああああああああああっ!!うおぉぉおおおおおおおおっっ!!! 」
ぶちぶちぶちぶちんっ!!
なんと魔魚は全身のちからを込めて、全身にからんでいた聖フックの糸を断ち切ったのだ!!
糸は張っていた糸が切られた衝撃からか、急速な勢いで戻っていく!
魔魚「やったぜ父ちゃん!(?) ガハハハ!同じ手に二回も引っかかる俺様ではないっ!」
糸を追いかけて海面をめざす魔魚! 水面に見えている人影めがけてこのままかぶりつくつもりだ!
海中で加速した噛みつき攻撃をかわすことは困難!!どうする!メルクリン!
魔魚「ギャーッハッハッ! なかなかだったぞ一本釣りの孫の孫!だけどこれで終わりだな、がっぷんちょ!!!!!!」
大きく飛び上がった魔魚の牙が、メルクリンを捕らえる! ぺしょた!情けない音を出してぺちゃんこに潰れるメルクリン!!!
ごっくんっ!逃さぬようにすかさず飲み込んでしまう魔魚! さ、さよならメルクリン!?
魔魚「みんなベイギャルズの全戦全勝になると思ってたんだろ!?ギョーッハッハッハッ!」
魔魚勝利!
END?
しかし-
魔魚「んん…? なんか歯に挟まっているな…こ、これは…糸!?」
丸ごと飲み込んだはずの糸が、歯に挟まってて…いや!歯ではない!糸を辿れば口の中!腹中から!
魔魚「な、なんだ!? なんで腹から…いだ!いだだだだだっ!!!?」
訳の解らないうちに、魔魚は「外の方」から引っ張られる!!
魔魚「な、なんでだ!だれがひっぱってるんだあ!??? あごぉーっ!!」
ざっぱーーーんっ!! あまりの勢いにたまらず海中から飛び出す魔魚!
メルクリン「イエイッ! 大物がかかったじゃんっ!!」
驚く魔魚を見てニヤリと笑うメルクリン!
魔魚「一本釣りの孫の孫!? じゃあさっき俺様が飲み込んだのは……」
逆光で気付かなかったが、よくよくメルクリンを見れば下着だけの姿だ!しかも動きやすそうなスポーツタイプ!
魔魚「ふ、服だけだったってかぁーーーーーー!?」
メルクリン「イエス! その通りじゃん! オマケに聖フック入りじゃんよっ!にゃはははっ!」
魔魚がさっきのようの怪力をふるっても、針が絡んでいるのが体内では意味がないっ!
魔魚「ヌハーッ! まだだー!まだ終わらんぞー!」
ふたたび海中に没し、振り切る事で糸を断ち切ろうとする魔魚!
たちまち糸が張り詰める!
メルクリン「むむっ!」
思わずりきむメルクリンに、糸を通し聖フックからの声が伝わる…!
謎の声(もっと力を抜くんだ、メルクリン。常に全力を出すことはない、必要な時にだけ力を出せばいいんだ…)
メルクリン「だいじょうぶ、わかってるじゃん!聖フック!」
全身の力を抜き、聖フックの糸を大きく伸ばすメルクリン。
自由になったと感じた魔魚はさらに大きく動き回る。やがて…
魔魚「ぜはーっ ぜはーっ こ、これだけ動けばきれたにちがいない… ぜはーっ!」
メルクリン「んんんっ! いまじゃーーーーんっ!」
魔魚の動きが止まったのを感じた釣り人メルクリンは、いまこそ全力を振り絞る!
メルクリン「んはあああーーーーーーーーーーっっっ!!!!」
魔魚「うおっ!? うおーーーーーーー!?」
メルクリン「魔魚の! 一本釣りじゃぁーーーーーーーーーーーんっっっ!!!」
ざっぱあーーーーんっ!!!
全身の力を込めた竿の引きに、今度こそ魔魚が宙に舞う!
魔魚「ああ…また負けた…」
謎の声(時を待ち、勝機と見れば逃さず叩く…。これぞ奥義「好機聖撃力」だ…よくやった。メルクリン)
魔魚が釣りあげられると同時に、黒き海も元の闇に戻る。
メルクリン「黒い海も面白いけど…やっぱり海は青じゃん! ね?」
勝利のスマイルを浮かべるメルクリン。ウインクが決まっている!
その時であった!!
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①ミネルンバvs魔人フック
②セレンスvs魔矢
③ベスタニャvs魔僧弁慶
⑤ボルカンヌvs大魔
全部読んだらこっちへ