おそろしく恐がりの私です。恥ずかしながら、前から「出産=痛い」のイメージが強く、とにかくもしそういうことになったら、少しでも痛くない方法があれば・・と赤ちゃんが出来る前から考えていたのです。
で、わりと近くにあった東京の荻窪にある東京衛生病院での出産を漠然と考えていたため、出産とは関係ない健康診断を受けてみたりして自分に合いそうか行ってみたりしました。
で、その後子供が出来たとわかった時からこちらの病院でお世話になりました。
さて、出産です。
無痛分娩でしたが、やはり痛かったです・・。
しかし出産から4ヶ月経った今となっては具体的に思い出そうたってできないようなもので、人間相当に痛くても耐えられるものなんだな、と思いました。
でも、自然分娩を経験した方の談によると、「もう生んじゃっていいの?!」って思うぐらい楽だったそうです。ただ後にもありますが産後(後陣痛や会陰切開の痛み)の痛みなどは麻酔も切れてしまうわけですから同じなようです。あと、そういう感じで生めるので、体力の消耗も少なくて済むかもしれません。私のお世話になった病院ではわりと2人目とかの方も多くて、私も含め年齢も30は超えてる方がかなり多かった気もします。
こちらの病院で行なっているのは硬膜外麻酔という方法でやっているものです。
前期破水から始まった私の出産ですので、実際は出産前日に入院しました。
この麻酔薬を注入する管を前日に通したまま一晩病院で過ごしました。
夜中も何度か看護士さんについてもらってトイレへ。微弱な陣痛は着ているようだけどむしろ家にいたときとか、先週のほうがもっと「生まれそう!」って感じていたぐらい、静かな夜で、ほとんど何も変わりもないのに羊水は出ている・・。
夜中隣の陣痛準備室にも人がいたのか、何人かの話し声がなんとなく聞こえる。私以外にも陣痛を迎えている人がいるんだと思いながらウトウトして寝てしまいました。
朝方5時すぎ、 やはり隣の人の物音で目覚め、うすぐらい中で、結構寝たな・・なんて思ってしばらくぼんやりしていました。
すると、なんとなくあれ?という感じに、お腹が痛いというか、いつもと違うにぶいような痛みを感じてきたのです。
といってすごい痛いわけじゃないけど、一応看護士さんにナースコールしてきてもらいました。
NSTを着けると、きてました。陣痛です。
妊娠中は陣痛って分かるんだろうか?ってすごく心配だったけど、(入院の時点では分かってなかったけど・・)それらしい状況になればやっぱりいつもと違うからわかるんだなと思いました。
でもやっぱり微弱らしい。まだ朝も早いし、ゆっくりな感じで過ごしました。
その日はもう麻酔をすることが決まっているので朝食も取れません。
朝8時ぐらいにはだんだん陣痛は強くなってきました。
でも、不規則に来ているので、出産につながるようなものでもありませんでした。痛いときはきゅーっと痛い感じがしました。痛い時はお腹をくのじにまげて痛みをこらえていました。
朝9時ぐらいに実家の母が来てくれました。陣痛室には1人入れるので、ずっと近くにいてくれました。
私としてはかなり痛かったのですが、あまり痛いようには見えなかったようで、陣痛の波が強い時でもおかまいなしに一方的にいろいろしゃべっていました。そしてしばらくしてだまって、お祈りしているようなポーズをとっているので、私の痛みに気付いてくれたのかと思いきや、寝てました。あとで聞いた話ですが、陣痛と言えば「痛い〜!!」と声が出てしまうのが通常のようで、私は出産中も1度も痛いと口にしませんでした。しかもあまり顔にも出ないたちなので、全然痛くないのかと思い安心して寝てくれたようです。まあ、ずっと心配してるよりはいいかもしれませんが。
陣痛は来ますが、規則的には感覚が狭まってきません。
そのうち看護士さんから陣痛促進剤についての話がありました。前日にも陣痛促進剤については説明がありました。あまりお産がすすまないので、使うことを提案されましたが、陣痛促進剤は突然に強い痛みが来ると、本などで読んだことがあり、非常に不安でした。そのことを伝えると、促進剤の量は徐々に増やすのでそれはないとのことでした。
そして、陣痛促進剤を使うことを決め、最初はごく少量から点滴しました。
最初はなんともありませんでしたが、しばらくすると定期的に痛みが来る感じになってきました。また、痛み自体も少し強くなってきました。
血圧やNSTなどの様子から、少し点滴の量を多くしていきました。そしてしばらく経った頃には相当に陣痛らしい、定期的なものになってきて、合間にはしゃべれても陣痛が来ている間には思わず顔をしかめてしゃべれないほどのものになってきました。陣痛の強さが数値で出る装置があるんですが、それも相当の数値になってきて、痛みもかなりズキンズキンとくるような強いものになりました。
陣痛促進剤で定期的な陣痛が来て、やっと本格的なお産のはじまりになりました。
痛みの強さもある程度の強さになって、冷や汗が出るぐらいになってから、背中のチューブから麻酔を入れることになりました。
我慢できない痛み、というわけではないけど、今まで体験したことのない痛みであることは確かで、麻酔を入れてもらってからは15分ぐらいでだんだん痛みがおさまってきました。
しゃべれないぐらいだった痛みが、どうにかしゃべれるような痛みになって、あえいでしまいそうなつらさからは解放されました。といってもまったく痛くないわけではなく、波がくるのは分かります。でも、それまでの強い痛みに比べたらラクになって、表情も変わるぐらいに痛みも軽くなりました。
その後、お産は順調に進み、赤ちゃんも下がり、子宮口もだんだん開いてきました。でももっと早くに開くかと思っていたので、なかなか開かないもんだなと思いました。
呼吸法も最初は通常の呼吸で吐くのを中心にしたもので痛みを逃していましたが、そのうちヒーヒーフーウンという呼吸になりました。家で多少練習しましたが、助産師さんがその場で教えてくれ、一緒に呼吸してくれて、ほんとにこころ強かったです。
ただ私は夢中で気付きませんでしたが、助産師さんの呼吸法の声がとても特徴的でうちの母はなぜか大うけ。笑いをこらえるのが必死だったそうです。(ていうかこっちのが必死だっていうのに・・)
助産師さんは立会い出産について、どうなっているかを聞いてきました。あらかじめ、意思確認があるのですが、流れでそうなるご夫婦も多いらしく、直前でも大丈夫なようですが、うちは旦那がはじめは拒否していて、私は出来れば立会いしてくれればという希望があったのですが、結局結論の出ぬまま出産になってしまいました。旦那は平日だったため、仕事に行っていて、でもだいたい助産師さんに聞いたらお昼〜14:00ぐらいの出産になるんじゃないか、との読みで、それを旦那に実母が伝えていたため、午前の仕事が済んだら来ることになっていました。
しかし、結構いいペースでお産が進んだため、出産に間に合うか微妙な感じになってきました。
子宮口を見てもらうとだいぶ開いてきているとのこと。
「旦那さんは何時ごろ来られるの?」「電話連絡したほうがいいよ」と何度も言われました。
多分、助産師さんは(気持ちとして)立会い出産をさせたく、また進み具合から間に合うか気が気じゃなかったようです。 私はだめだったら仕方ないや、ともうあきらめていたので、それより無事赤ちゃんが生まれることに専念しようと思っていました。
旦那はまだ来ませんでしたが、子宮口を見てもらうとついに赤ちゃんの頭が見えてきているとのこと!
といっても極端に痛くなるとかいうことはありませんが、確かになにかぐっと下がってきているのは分かりました。
ここまで来たら、麻酔は切られます。
この時点での麻酔のかかり具合を見てもらい、私の場合は下半身はまだぐたっとした感じでした。
しばらく、すると少し下半身の感覚が出てきたので(といってもそれ程力も入りませんでしたが)、 軽くいきんでみることをしました。助産師さんと一緒にお腹に力を入れていきみます。
正直、いきむのは分娩室に入ってからだと思っていたので、陣痛室でいきむとは思っても見ませんでした。
麻酔がまだきいているのでうまくいきめませんでしたが、いきむのってほんとにむずかしかったです。
家ではいきむ練習は要らないだろうと思いしませんでしたが、腹筋を鍛えたりすることはもっとすればよかったと後悔しました。数度いきんだら、赤ちゃんの頭が出てきているとのことで、「じゃあ、いくよ」とついに分娩室にいくことになりました。
ずっと陣痛はありましたが、まだ麻酔がきいていたし、もうここまで来たら、痛いとかいうことより、赤ちゃんも出よう出ようとしているのが伝わってきて、あまり細かいことは考えられませんでした。
ただうちの赤ちゃんは妊娠中から胎動が非常に激しく、胃もよくキックされたりで、思わず私が「ウッ」と声が出てしまうほどだったのですが、この時点でもまだ胎動がありました!分娩室に向かうベッドの上でもまだ胎動があったんです。本には生まれるころになると胎動は減ったり、なくなったりすると書いてあったのに。これにはびっくりしました。
分娩室に入るとき、母に行ってくるね〜、と言ったのですが、私が余りに普通の感じだったので、無痛分娩はすごいなと思ったらしいです。
分娩室に入ると当然のことながら分娩台があります。で、ベッドから分娩台には自力で移ります。はっきりいってこれがつらかった。赤ちゃんがもう降りてきているので、お腹の辺にも力が入らず、ごろんという感じでどうにか分娩台に乗りました。
手術台らしい、すごい照明・・。なんかすごいことになってるな〜と思いました。
この時、尿を管で採ってもらいます。そして足など、消毒してもらいます。また、ハンドルのような部分を握ることなどの説明もあります。それらが終わり、いよいよ出産です。
陣痛室で行ったいきみをまた行いました。呼吸法をしながら、いきみました。
背中の枕を助産師さんが押してくれて、ぐっと足に力を入れて。なんですが、どうにも足に力が入らす、なかなかうまくいきむことができません。
そして次のいきみを行う時、ばたばたと手術着を着た旦那が入ってきました。
「どうにか間に合ったね〜」ということで、旦那が助産師さんにかわって背中の枕を押すことに。呼吸法に合わせてぐっと押してくれました。
数度これを繰り返しましたがなかなかうまくいかず、赤ちゃんがなかなか出てきません。数回のいきみで出産する人もいるというのに私のばあい、10回は軽く超えても赤ちゃんがなかなか出てくれず、そのうち雰囲気が変わってきました。
先生が状況を見て、助産師さんと、こそこそ話をしたりして、私も大丈夫かな、とほんとに不安になりました。
赤ちゃんの心拍数がかなり低くなってきていて、危険な状態になってきているらしく、あまり長引かせるとほんとに大変なことになりそうでした。
私も何度もいきんで、ほんとにぐったりでしたが、赤ちゃんが大丈夫か心配で仕方なかったです。
途中から、助産師さんが私の上に体重をかけて腕を着き、いきみと同時にお腹を押すようになりました。はっきりいって陣痛よりもこれのが辛かったです。こんなに押してよく人間大丈夫だな・・と思うほどの力で押すので、ほんとに驚きでした。なにより私のいきみの力が足りないせいで、こんなことになりました。これもまた何度もやっているうちに、私は気持ち悪くなって(胃が圧迫されるため)吐いてしまいました。それでも、どんどん赤ちゃんの心拍数は低くなるので、がんばらないとと思いました。あとで知ったことですが、赤ちゃんの肩のあたりがかなりでにくかったようです。もう、あまり長くお産に時間をかけることはできなくなり、吸引もいきみにあわせて行われました。また、それでもなかなか出ず、カンシも同時に使うことになりました。もうなにがなんだか状態になりましたが、いきみと同時に、「はい、がんばって!」と赤ちゃんをぐっと先生が引っ張っているのが良く分かりました。
そのうち旦那が「おおっ!」と声を上げました。赤ちゃんの頭が出てきたのです。私もなんともいえない不思議な感覚を味わいました。途中まで赤ちゃんが出てきていて、動いているんです!「はい、もうひといき」と言われてもう1回、それでも出ませんでしたが、「最後は自分の力でがんばって!」と言われて、私も全力でいきみました。すると、赤ちゃんが出てきて、ものすごい大きな声でおぎゃー!と泣いたんです。
感動というか、ものすごいことだなと思いました。赤ちゃんは軽く拭かれた後、私のお腹の上に乗せられました。ほんとにちっちゃい、いままで会ったこともない、大切な自分の赤ちゃんです。涙は出ませんでしたが、なんともいえない充実感というか、すごいことをしたという思いがありました。
私は妊娠中、この子のことをお豆ちゃんと呼んで、語りかけをしていたので、「お豆、よく生まれてきたね、よろしくね」と言いました。
かわりに泣いていたのは旦那で、私の背後にいる旦那の方は振り向きませんでしたが、 「がんばったよ」といって涙声でした。
そしていちばんにだっこできるのは立会いをした旦那です。ちっちゃな赤ちゃんにこれからよろしく、といってました。
旦那は外に出て、赤ちゃんもしばらくして外に連れて行かれました。次に対面できるのは新生児室で処置が終わってからとのこと。
私はまだ、分娩台で、処置を受けていました。お腹を冷やし、先生が残っている胎盤を出し、会陰の縫合をしているようでした。 すべてが嵐のように終わって、ひとりで分娩台にいると、夢のようで、なんだか呆然としてしまいました。その様子をみて看護士さんたちが大丈夫?と声をかけてくれましたが、特に体調が悪いでもなく、呆然としてしまっただけでした。
産後の処置は結構の時間がかかりました。20〜30分ぐらいかかりました。吸引、カンシ分娩を行ったため、相当に大変なことになったようでした。
縫合は麻酔が効いているため、引っ張られたりする感覚はなんとなくありますが、痛みなどはありませんでした。
出産の際の汚れなどもきれいにしてもらい、 処置が済むとそのまままたもとの陣痛室に戻りました。
ベッドに載せられたまま、お腹を冷やして包帯(布?)でぐるぐる巻きにされ、そのまま部屋に入りました。
そこにはすでに旦那と母が居ました。二人とも結構興奮していて、なんだかひとしごと終えたような顔をしていまいした。
また、実家から姉とその子供が来てくれましたが、(ちょうど私が分娩室に入る頃に来たらしい)子供は2歳すぎだったため待合室までしか入れず、顔が見れたのは通常の病室に向かう時でした。
外で待っていた親類達は、分娩室の中から赤ちゃんの大きな産声が聞こえて、喜んだそうです。
また、あまり私の声など、音が聞こえなくてどうなっているのかと心配していたそうです。
で、赤ちゃんはというとまだ新生児室で、1時間ぐらいのうちにはその部屋につれてきてもらえるということで、そこでは親類も間近に赤ちゃんを見ることができるというので、みんなで待っていました。
でも、なかなか来ず、ちいさ目で生まれた赤ちゃんだったし、生まれる時もなかなかなおおごとだったので、大丈夫かなと少し心配でした。
30分ぐらいしたころ、やっと新生児室のスタッフの方が、赤ちゃんを産着に包んで連れて来てくれました。
透明の新生児用のケース(ベッドのようなもの)に入ってきた赤ちゃんはほんとにちいさく、帽子もかぶせられていましたが、帽子に埋もれてしまいそうなか弱さで、こんなに小さな赤ちゃんを見るのはもちろん初めてでした。
横になったままの私の腕の間に赤ちゃんを置いてくれて、ほんとに間近に赤ちゃんを見ました。そして初乳、といってもまだ出ていませんでしたが、はじめて私の乳首をくわえさせました。
わたしのおっぱいもぎこちないし、赤ちゃんは寝ているのか起きているのか、でも一応口の中に入ったかな・・というぐらいでしたが、とても新鮮で、素敵な体験でした。
つづく・・
|