密集市街地で生活再建をめざした取り組み
〜富士見市鶴瀬東地区の事例〜

(株)まちづくり研究所 岸岡 のり子


1.はじめに


埼玉県富士見市鶴瀬東地区は、東武東上線で池袋から25分ほどに位置する。
地区面積は8.5ha、駅前に少々駐車場がみられるほかは、1960〜70年代に開発された閑静な住宅地である(図─1 )。
つるせ駅から地区の端まで歩いても8〜10分であり、近年マンション開発も進んでいる。  密集住宅市街地整備促進事業(建設省住宅局)の網をかけ、第一に住環境改善に取り組む地区として  鶴瀬東2─ 1地区が位置づけられている。
 本稿では主に合意形成の過程について実践の立場から、あわせて事業組立の特徴を紹介する。
 次節では当地区の歴史について詳細に記述しているが、当事業の目的や採用している事業手法がこれまでの 経緯を十分ふまえて選択されてきていることをご理解いただけると思う。
鶴瀬東地区
図ー1鶴瀬東地区