密集市街地で生活再建をめざした取り組み
〜富士見市鶴瀬東地区の事例〜

(株)まちづくり研究所 岸岡 のり子


6.おわりに、専門家の役割について


住民は、日常生活が営まれている現場で日々のつきあいが力を発揮できる場面とそうでない場面がある。 とくに個々の権利に関わることは住民どうしでは調整できない問題だ。行政や専門家が積極的に働きかけることが 必要だと考えている。私どもでは、何かを決めるときには全体説明→個別の合意→全体での確認、という手順をおい、全体の場で決めることはしないようにしている。
事業に関わるようになって「どんなことがあっても、住民は行政を信頼している」と感じるようになった。 行政は、問題の集積している地区へ人的財政的に力を入れ問題を解決することに勇気を持ってほしい。 一担当者任せにせず、行政課題としての問題意識を持って、事業に取り組む姿勢が必要だ。
一方で、常に住民の立場に立って事業をコーディネイトする、地域に密着した専門家が求められている。 住民の目線をもって、その生活実態から真の要求を探り出す、そういう専門家をイメージしている。 生活改善を目標として、事業の実現方法を提案し、総合的・客観的に将来を見据えた観点からのバランス調整の役割をになっていきたい。