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三宅島の自然の魅力


 三宅島は、東京から南南西に約180km、伊豆半島からは約80kmの太平洋上にある、周囲約38km、面積約55平方qのほぼ楕円形の火山島です。
 黒潮の影響を受けて温暖多雨な気候で、年平均気温は17.5℃、最寒月は2月で9.4℃、最暖月は8月で25.8℃です。降水量は年間3,000ミリを超えます。
 年間を通じて風が強く、風速10m/s以上の風が吹く日は約230日にもなります。4〜9月にかけては南西風が強く、10〜3月にかけては強い西風が吹きます。

●バードアイランド三宅島
三宅島は、野鳥の生息密度がとても高く、人と野鳥の距離が近いことで知られています。日本固有種のアカコッコをはじめ、島の中で独自の進化をしたオーストンヤマガラやタネコマドリ、分布が限定されているイイジマムシクイ、ウチヤマセンニュウ、カラスバトなどを見ることができます。これまでに観察された野鳥は約260種になります。
 島という隔離された環境の中で生態や習性が変わっているものもあり、例えばオーストンヤマガラは本州のヤマガラより産卵数が少なく、巣立ちビナの餌ねだりの期間が長いことが知られています。
アカコッコ
国の天然記念物
国の絶滅危惧TB類
イイジマムシクイ
国の天然記念物
国の絶滅危惧U類
  

●貴重な照葉樹林と火山活動から回復しつつある森
島の北部から北西部、南部の山麓には、スダジイやタブノキなどからなる貴重な照葉樹林が見られますが、2000年噴火の影響により標高の高いところでは裸地化しています。また火山ガスが流れやすい東部や南西部では、立ち枯れた樹木も目立ちます。  火山でできた裸地にまず入り込むのが、ハチジョウイタドリやオオバヤシャブシなどです。続いて、ハチジョウキブシ、オオバエゴノキなどが生育します。そして、長い年月を経て、スダジイやタブノキなどの照葉樹の森へ変わっていきます。古くから何度も噴火を繰り返してきた三宅島では、溶岩原から照葉樹林ができるまでのさまざまな段階を間近に観察することができます。
スダジイオオバヤシャブシ

●黒潮の育む海の生き物
海では、黒潮の恩恵によって南方系の海水魚が見られます。春から秋にかけて、ナンヨウツバメウオやミヤコキセンスズメダイなど南の海で生まれた海水魚が黒潮に乗って運ばれてきます。また、地域を特徴づけるレンテンヤッコやミヤケテグリ、ウスバノドグロベラなどの珍しい魚もすんでいます。  サンゴの種類も約90種と豊富で、多様な生き物を観察できます。
ミヤコキセンスズメダイ トラウツボ

●火山活動が織りなす独特の景観
三宅島では火山活動によって生じた独特の地形を随所に見ることができます。約2,500年前の火山活動によって生じた火口湖「大路池」を始め、爆裂火口跡である「新澪池跡」、1940年噴火の際に生じた「ひょうたん山」、1983年噴火の溶岩に埋まった「旧阿古小中学校跡」など、火山活動の凄まじさと、計り知れない自然の力を見ることができます。
大路池 旧阿古小中学校跡

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