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左手の水差し

 「水差しを持つ女性」のひとつのポイントは、やはりこの左手に持った水差しでしょう。こうやって、Catch eyeしてみると、水差しが光輝いているのが、よくわかります。窓から入る光で、このようになっているのでしょう。


 私が注目したのは、この水差しを持つ左手です。実に繊細でデリケートな手だと思いませんか?「牛乳を注ぐ女の手」とは、明らかに違うように思います。この手は、(働く手)というより、「真珠の首飾りの女の手」のような、あまり(苦労をしらない手)のような気がします。また、手の陰が微妙で、丁寧に描写されてます。

  

マウスポインタを写真の上に載せてみてください。

普通に観られます。
  

 「この女性は、所有物を吟味する葛藤の中にいる。」(⇒VERMEER・良い模範に導かれて・64ページ)ということは、女性はまよっているわけだから、「働く女性」でなく、「恋する女性」となると思う。


 見落とさないでほしいのは、水差しが置かれた台のテーブルクロスである。模様がしっかりと、描かれていて、美しい。また、水差しの下のお皿にテーブルクロスの反射が描かれている。「ここまで、厳密にえがかなくても」と思えるほど、厳密だ。フェルメールの絵は、どんな些細なことでも、全く手抜きなく描かれている。それは、すごいことである。


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