相続税の課税対象となる財産には次のものがあります。
1.被相続人が亡くなった時に持っていた財産
宅地や建物などの不動産、株式や公社債などの有価証券、現金や預
貯金などのほか、金銭に見積もることができる財産です。
現金や預貯金以外のものについては、例えば、次のように金銭評価
をします。
・宅地:国税庁が定める路線価(道路に面している標準的な宅地
の1uあたりの金額をいいます)に基づいて、または路
線価のない地域では固定資産税評価額に一定の倍率をか
けて、評価を行います。
・建物:原則として固定資産税評価額が評価額となります。
・上場株式:相続開始日の終値、相続開始月の毎日の終値の月平
均額、相続開始月の前月の毎日の終値の月平均額、
相続開始月の前々月の毎日の終値の月平均額のいず
れかで最も低い金額を用いて計算します。証券会社
に依頼すれば個別の株式毎に明細を出してくれます
ので、それに基づいて計算します。
・投資信託:中期国債ファンドやMMFなどの投資信託受益証券の
評価は、相続開始日に解約請求または買取請求をし
たと仮定したときに、証券会社などから支払いを受
けることができる価額によって評価します。
・電話加入権:忘れがちですが、被相続人が名義人であったとき
は含める必要があります。電話加入権は取引相場
があれば取引価額により、そうでなければ国税局
長の定める標準価額によって評価します(東京で
は1,500円)。
・金地金:相続開始日の小売価格を基に評価します。金地金を販
売している会社によってはホームページで過去の小売
価格を公表しています。
2.みなし相続財産
被相続人が亡くなったことによって支払われる生命保険金や被相続
人が亡くなったことによって支払われる退職金は、相続によって取
得したものとして扱われ、これを「みなし相続財産」といいます。
「みなし相続財産」も相続税の課税対象となりますが、生命保険金
と退職金ごとに法定相続人1名あたり500万円の金額までは非課
税となります。
例えば、法定相続人が3名いるときは非課税額が1,500万円と
なりますので、生命保険金が800万円、退職金が2,000万円
あったときは生命保険金は非課税額内ですので非課税ですが、退職
金は非課税額を超える500万円部分について課税されることにな
ります。
3.被相続人から取得した相続時精算課税適用財産
原則として60歳以上の父母または祖父母が、20歳以上の推定相続
人である子供または孫に対して財産を贈与したときの贈与税の申告
のときに「相続時精算課税」の適用を申請していた場合は、贈与を
した父母または祖父母が亡くなった時に、贈与を受けた財産が相続
税の課税対象となる制度です。
なお、この場合の相続税の課税価格は、相続開始時の価格ではなく
、贈与時の価格となります。
財産の贈与が行われた場合には、翌年の2月1日から3月15日ま
でに贈与税の申告をする必要がありますが、贈与税の課税方法には
「暦年課税(毎年1月1日から12月31日までの間で110万円以
下であれば申告不要で贈与税はかかりません)」と「相続時精算課
税」があります。
相続時精算課税を選択した場合には、贈与があった時に贈与税を納
めます(贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1
年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別
控除額を控除した残額に対して贈与税がかかります)。
その後、贈与者が亡くなった時は贈与財産を含めて相続税を計算し
、この相続税と既に支払った贈与税との差額を支払ったり、払い過
ぎている部分の還付を受けることになります。つまり、贈与の時に
相続時精算課税を選択していた場合は、その時に支払った贈与税と
相続開始時の相続税を通算して課税をすることなります。
4.被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
相続時精算課税は贈与する人と贈与される人の関係や年齢に制限が
ありますので、誰でも相続時精算課税制度を選択することができる
わけではありません。
相続時精算課税制度を選択できなかったり、選択しなかったときは
、被相続人から相続によって財産を取得した人が、被相続人が亡く
なる前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は相続税の課税対
象となります。
なお、この場合の相続税の課税価格は、相続開始時の価格ではなく
、贈与時の価格となります。
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