4日目:食で“死ぬ”という感覚。

<2月19日(火)天気:晴れ>
旅程:ウトロから網走を経て、サロマ湖へ。

流氷が随分少なくなったウトロの港。
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 朝6時過ぎに起床。寝ている時から気になっていたのだが、波の音がする。慌ててカーテンを開けて外を見るとご覧の通り。昨日までアレだけあった流氷が一夜にしてこうだ。危うく腰を抜かしそうになった…これが“自然”なんだな、と改めて思い知らされる。
一通り部屋を片付けて食堂に下りる(布団位は畳んで出られる旅人になりましょう)。既にオーナーが居たので、外見てビックリしましたという話をすると、オーナーさんも気になっていたので、4時には起きていたという…しばらくするとテレビクルーが下りてくる、一様に暗い表情である。そりゃそうだ、昨日の状況からは考えられない現況で、撮影も滞るに違いない。いや、滞るどころじゃなくて大打撃だろう。でも、これが“自然を相手にする”ということなんだな、と。自然を描く映像作品や番組なんてのは、普段何気に見ているけれど、とんでもなく難しいことなんだなぁ、と(多分N*Kとかはすっごい金つぎ込んでるよ)。
まぁ、輪駆としては、昨日散々流氷ウォーキングを堪能したわけだし、昨日歩いた付近が本当に海の上だったということをリアルに体感できてホクホクものなのだが。テレビマンの姿勢はあまり好きでないので、あえてホクホク顔で『自然って凄いっすねー!!』と話したりもする(嫌がらせ)。
朝ごはんもモリモリと食べて、そのまま食堂に居座ってオーナーさんと色々話す。このホテルの建物は、建築当初に色々ゴタゴタがあったらしく、その件で建築屋と裁判沙汰にまでなったらしい(しかも建築屋はトンズラこいたと…)。また、ウトロ、はもとより道内の開発に関する官と民の感覚の違い、それに踊らされる地元の話など…北海道旅行らしからぬ真面目な話だったが、やっぱり官と民どちらの相手もする調査士のタマゴとしては、こういう話を日本全国何処でも聞けるのは非常にありがたい。まぁ、話の内容をかいつまんでいうと、『官の持っている感覚は明らかに民とはかけ離れているんだけれども、基本的に官の側は民の感覚に触れたことがないし、官側の面子はみなそうなので、自分たちの考えがかけ離れていることにさえ気付いていない』と。確かにそれは色々な局面で実感するし、実際民間出身の大臣などが官僚に叩かれる絵なども報道などで見ている人も多いだろうし、改めてそういわれると納得してしまう。自分もそういう、官側の考えに染まらないように気を引き締めなければ…

オシンコシンの滝・冬
夏Ver.はコチラで見られます
 結局そういう話をしていると、今日は9時頃にホテルをチェックアウトして、昨日の女子と共にオシンコシンの滝まで送ってもらう予定だったのだが、チェックアウトギリギリの時間まで話し込んでしまった。しまった昨日から話しておけば…と言ってももう後の祭り。慌てて準備して、宿泊費もちゃんと払って車に乗り込む。ホテルからオシンコシンの滝までは、車だと10分もかからない。10年振りに間近で見るオシンコシンの滝は、氷結部分が多いせいか夏の迫力には及ばないものの、懐かしさ…10年前の夏のあの朝を呼び起こしてくれる。そのまま、滝の辺りでバスを待ちながら10分程話していると、路線バスがやってくる。「もしも気付かれずに見捨てていかれたら嫌ですよねー」って話をしていたのだが、実際バスが来る数分前までは、観光バスが2,3台横付けしており、かなりアッピールしないことには路線バスに気付いてもらえそうにない状況だったので、もしもこのまま観光バスが居っぱなしだったら…と、ちょっとビビってたのは事実。結局路線バス到着前に観光バスは1台もいなくなり、無事に路線バスに乗れたわけですが。このバスでまた知床斜里駅まで向かい、1時間ほど待って網走に向かう列車に乗る。やはり、車窓から海を見ていると、全体的に流氷の量が少なくなっている。数時間でも流氷の量は変わると聞いていたが、一日でこう変わってしまうというのには、本当にビックリだ。→{16}

*路線バス時刻表*

9:28 オシンコシンの滝発

↓ 斜里バス知床線

10:10頃 斜里バスターミナル着

 バスターミナルに着くと、昨日とはうってかわって人もまばら(昨日のは列車到着時間だったから人が多かっただけなのだが)。とはいえ、まだまだ列車が来るまで時間があるので、2人で道の駅に。道の駅にはWeb見られる端末が置いてあったので、自分のWebサイトを確認したり。その、女子の方にも一応紹介しておいたんだけれども、見てくれたかなぁ…
そんなこんなでぼーっとしてるとあっという間に1時間が過ぎる(ホントに1時間の待ち時間はあっという間)。ここからはJRで網走まで向かうのだが…ノロッコ号を待っている(30分後位に発車)のもしんどいし、かといって快速列車で一気に駆け抜けてしまうのも勿体無い…ということで、こんな感じで網走に向かうことにした。

*列車時刻表*

11:28 知床斜里発

↓ 快速 しれとこ 網走行

11:42 浜小清水着(下車)
12:20 浜小清水発

↓ 流氷ノロッコ4号 

12:53 網走着

 そう、途中の駅で下車して、ちょっとのんびりしてから網走に向かったのだ。さっさと快速に乗って網走に着いて、その時間を網走観光に当てるというのでもよかったのだが、やっぱりもう一度ノロッコ号に乗っておきたいなーというのもあって、結局途中駅から乗車するという手段に出たわけである。
という訳で快速「しれとこ」に乗って浜小清水へ。駅舎は道の駅と併設されているのだが、降りたら駅舎には凄い人の山。これ皆ノロッコ待ち!?かと思ったがどうやらトイレ休憩なだけらしい。バスが出てゆくと一気に人が減る。その後、数十名の団体がノロッコ号に乗るためにやってきたのだが、先ほどのような賑わいは感じられない。小腹が空いたので、何か食べようかと思ったが30分という待ち時間が非常にネックで、椅子に座って食事…(道の駅だからレストランはある)という訳にもいかない。しょうがないのでみやげ物屋で『帆立かまぼこ』を購入して、列車を待ちながらもぐもぐする。

浜小清水駅から知床連山を眺める

 そして、ノロッコ号に乗車。自由席だったが、ちゃんと空きがある(そもそも、観光客以外の利用者は極めて少ないと思われるし)。今日は釧網線沿岸の流氷は随分遠ざかってるので、わざわざ海側に座ることはない。陸側に座って、斜里岳を眺めながら網走に向かう(この日は抜けるような快晴で、斜里岳はもちろん、遠くは大雪山??まで見えるほどでした)。ノロッコのアナウンスお姉さんも、今日は流氷があまり見えないので、アナウンスも流氷中心ではなく、行きとは随分違う印象を受ける。一辺倒な原稿棒読みアナウンスよりはこういうほうが断然面白い。道の駅で別れて、斜里からノロッコ号に乗ると言っていた女子も何度か見かけたが、特に話しかけることもなく。
網走に着いたら、とりあえず昼飯である。駅前にはあまりコレといった店がないので、観光案内所で聞いてみると、やっぱり特筆するようなものはないとのこと。でも、近くの『あんじろ』という店のオムライスはちょっと女子に人気ですよ、と言っていたので他にめぼしいものもないし行ってみる事に。結果としてオムライスは売り切れで、ハンバーグカレーを食べたのだが…特筆するほどじゃなかったな(笑)
今日はこれから常呂町(現・北見市常呂)にある宿に向かうのだが、まだそこに向かうには早い時間。とりあえず網走観光でも、ということで…13:54に網走駅前発天都山行きのバスがあるので、それに乗って天都山へ。天都山は網走監獄博物館、オホーツク流氷館、北方民族博物館と3つの観覧施設を有する、網走の観光の中心といえる場所。山の上からはオホーツク海はもちろん、網走湖も眺めることが出来るので、眺望スポットともなるであろう場所である。今回は時間の都合もあって、3つの施設のうち北方民族博物館にだけ立ち寄ることにした。網走監獄も気になるのだが、標準観覧時間が2時間と、かなり大きな施設なので、またいつか、妻と子供ができてから…(前に来た時も言ってたな、この台詞・笑)。
ただ、北方民族博物館に着いたのが14:10頃。次のバスが14:40。そして今日の宿泊地サロマ湖に向かう路線バスの網走駅前発時間が15:15。たった30分の観覧でダッシュで戻るのはさすがに寂しいので…ちとお金はかかるが、14:50頃にタクシーを手配してもらうことにした。この10分の差ってのは結構大きい。タクシーなら10分程で駅に着けるだろうし、乗換え時間にも余裕が出来、精神的にも余裕が出てくる。→{17}
そんな訳でのんびりと博物館観覧。民族博物館ということで、もう少し地理的な要素が多いと嬉しかったのだが、主に生活関連の展示が多かったかな?出来れば1時間位はかけてゆっくり見たかったけれど、ちょっと後ろ髪引かれながらの観覧になりました。また今度に、3館まとめてゆっくりと回りたいな…

国鉄湧網線跡を利用したサイクリングロード
10年前にはあそこ走りました(雪に埋もれてるけれど)
 で、呼んでもらったタクシーで網走駅へ。天都山から車窓越しにオホーツク海を眺めてはみるが、流氷は遥か遠い。やっぱり昨日ウトロに行ったのは大正解だったようだ。我ながらこの強運には驚くばかり。10分程で網走駅着、呼びつけたこともあってちょっと予想以上にお金払う羽目になったが、まぁ、しかたがないだろう。バス乗り場でバスを待っていると、周りに居るのはアジア系の女性だらけ。やっぱりこの時期はアジア系の観光客が多いのだろうかなぁ。

*路線バス時刻表*

15:15 網走駅前発

↓ 網走バス中湧別線(国鉄湧網線廃止代替バス)

16:00頃 サロマ湖栄浦着

 そう、今回乗る網走バスの中湧別線は、国鉄湧網線の廃止に伴う代替交通機関として、網走〜中湧別間を走る廃止代替バスなのである、未だ湧網線があればそっちで行くことになっていたのだろうが、湧網線の廃止は1987年(国鉄民営化前の話)、しかも末期は1日5往復しか列車が無かったというらしいので…うーん、バスのほうがありがたいかな?
バスから車窓を眺めると、併走するようにオホーツクサイクリングロードが走る。このサイクリングロードはいわゆる湧網線廃線跡を活用したもので、10年前に自転車で全線走破している。ちょうど10年前も朝にウトロを出発して、サロマ湖の栄浦にあるキャンプ場に宿泊したので、全く同じ道を1日で行くことになるのだ。自転車では130km、朝6時頃にウトロを出て、15時頃に着いた記憶があるが…
ただ、今は真冬なので、当然のようにサイクリングロードは雪に埋もれてしまい、結構頑張って探さないと何処がサイクリングロードだか分からない箇所も多い。でも、あの時も列車気分でサイクリングロードを快走していたなぁ、と懐かしく思い出す(アレが多分廃線跡好きになった“はしり”なんだなぁ…)。
常呂バスターミナルを経由して、懐かしい景色のサロマ湖栄浦へ。10年前の記憶とあまり変わらないけれど…一番のショックだったのは「栄浦野営場」が平成14年に閉鎖されていたという事実。14年ってもう6年も前じゃないのさ…確か10年前はあまりの蚊の多さに辟易としながら眠りについたのを今でも覚えている。今でも夏にはそうなるのかなぁ。

今日の宿泊地だが、サロマ湖の“宿”といえば、噂に名高い『船長の家』。低料金ながら、そのボリュームたっぷりの夕食は、チャリダーライダーの間でも半ば伝説的に語られることすらあるという、噂の宿である。せっかくオホーツクに来るのだから、やはりここは外せまいということで…満を持して予約を入れたのである。

*船長の家Webサイトはコチラ

宿から少し歩けば目の前にはサロマ湖が広がり、サロマ湖をスノーモービルで快走するというイベントプランもあるのだが、今年はサロマ湖の氷が薄いらしく、湖上でのスノーモービルはやってないということ。残念ではあるがチェックインしたのが16時過ぎなので、そこまでゆっくり遊んでいる暇もないだろう。(乗りたい人は別の場所でやっているみたいだけれど…)→{18}
とりあえず部屋に荷物を置いて、サロマ湖を眺めに行くことに。今日も天気がよいので、日没眺めながらたそがれるにはサロマ湖も最高の場所だ。しかも、スノーモービルがいないために、サロマ湖はしんと静まり返っている、この静寂というBGMもまたたまらない。

サロマ湖の夕焼け。どうしても露出に差が出ちゃうね。
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 ちょっと風は冷たく、じっとしていると寒かったけれど、ぼーっと夕日が落ちるさまを眺めてました。こうやって静寂な世界に1人いると、いろいろなことが頭の中を回る。別に答えが欲しいわけじゃなくって、ただ、こうやって静かな中でいろいろと思いを巡らせるのもまた一興なのだ。無い頭で考えたって何も浮かばないわけだしね(笑)
宿に戻る道を歩いていると、スノーモービルらしき轍に混じって、動物の足跡が…犬かもしれないし、キツネかもしれない。中には湖まで足跡が延びているものもある。そういえば今日の朝、いるかホテルの食堂から流氷を眺めていたら、ホテルの飼い犬を流氷の上まで散歩させていたなぁ…海の上を歩くなんて、何て贅沢なペットなのか。宿へ戻ると、自分で布団をセットしろと書いてあったので、丁寧にセッティング。2人部屋らしく、布団とかが2セットあったので、敷布団だけ2枚重ねてちょっと幸せ感をUPさせる。
そして…遂にやってきた。『船長の家』名物の(殺人的)夕食タイムである。

これが、1人分(しかも“とりあえず”)
 食堂に入ると、まず左の写真が僕を迎えてくれた。しかも、これだけではないのだ。この後に焼きタラバだとか帆立のバター焼きだとか、カニ飯だとかが更に追加されるのである。普通の感覚ならこの写真分だけ食えばおなかいっぱいである。毛ガニ丸ごと1ぱいだとか、タラバも1ぱい分(既に茹でてある分と、これから茹でる準備してる分、身体もほぐしたのとミソを合えたのが入ってる)あって…要はカニ2はい食わされた挙句、まだ一品が大量に存在する。もちろん、残ったカニはお持ち帰りも可能なのだが、大学時代は“らいらいファイター”としてならした輪駆である。負けるわけにはいかない。→{19}
って訳で手当たり次第に食べました。ひたすら食べましたよ。
でも、焼きタラバまでは食べられなかった…それでも毛ガニはきちんと全部解体して平らげて、タラバも8割方食いつくし、一品も殆どを食べて…もう、後半は「なんかの罰ゲームか?」と自問自答しながら食ってました。前に「船長の家」を経験した興味しんしん氏が、『タラバの味の淡白さに辟易とする』というようなことを書いておったのだが、輪駆もそれを実感した。満腹感の中で食べていると、毛ガニならまだ詰め込めるのだが、タラバは入らないのだ。そんな体験が出来るのも、船長の家ならでは。それでいて宿泊費は驚きの値段であるから、ソレは下の出費欄を見てビックリしていただきたい。→{20}
とにかく、「もう、カニはしばらく見たくない」って位まで食べつくして食堂を後に。同じように1人でココに宿泊していた人と食休みがてら話したりもしていたが、夜のサロマ湖が見たくなったので、満腹感のまま外に。静寂しかないサロマ湖をしばし眺めて、満腹感を静める。天気は快晴で、非常に気持ちよかったのだが、満月が近いということもあって、空が明るく、一面の星空を楽しめなかったのは少し残念ではあるが…。まぁ、10回近く北海道に来ていながら、実際そういう星空に出会えたのはわずか2度('99ツアーの留萌と'03の天売島にて)しかないのだから、その辺はしょうがない。
食事前に風呂にも入っていたので、後はただ眠るだけ。サロマ湖なんて暗くなってしまえば特にやることもない。テレビを見る気にもならなかったので、22時過ぎには就寝した。

*この日の出費*

いるかホテル宿泊費+流氷ウォーキング代で13,000円
斜里バスオシンコシン〜斜里で1,230円
セイコマ斜里で水で98円
浜小清水の道の駅で帆立かまぼこ代370円
あんじろでハンバーグカレー代880円
網走バス網走駅前〜天都山で330円
北方民族博物館入館料で400円
タクシー代博物館〜網走駅で1,570円
網走バス網走駅前〜サロマ湖栄浦で1,120円
船長の家1泊2食付で7.890円

19日小計、26,888円


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*旅程ショートカット*

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