歌 舞 伎 - 観 劇 記 - |
平成28年
1月:糸桜、新派・新年踊りはじめ
2月:新書太閤記
4月:松寿操り三番叟、不知火検校、身替座禅
7月:愛の設計図、浪花の夢/宝の入船
8月:東海道中膝栗毛、艶紅曙接拙
9月:振袖纏、深川年増
11月:四季三番草、毛抜き、祝勢揃壽連獅子、加賀鳶
12月:「華の天保六花撰」 どうせ散るなら
平成28年1月 初春新派公演
三越劇場
演 目 | 役 者 | 観 劇 記 |
河竹黙阿弥生誕2百年記念 河竹登志夫原作 齋藤雅文脚本・演出 糸桜 (いとざくら) 黙阿弥家の人々 |
波乃 久里子 市川 月乃助 大和 悠河 水谷八重子 瀬戸 摩純 柳田 豊 |
商人となった兄に代わって、女手一つで「作者の家」を継ぐ河竹黙阿弥の娘・糸女。 黙阿弥没後は、その全てを一門の統率と版権擁護に捧げ、信奉する父の作品を正しく残すために尽力する。 文明開化で様変わりする世の中、関東大震災等の大打撃を受けながら、明治から大正の激動の時代を強く逞しく生きる人々の物語となっている。 最後に新派「新年踊り初め」と新年の挨拶があった。 |
平成28年2月、二月大歌舞伎
歌舞伎座
演 目 | 役 者 | 観 劇 記 |
吉川栄治原作 今井豊茂脚本演出 通し狂言 新書太閤記 (しんしょたいこうき) 長短槍試合 三日普請 竹中閑居 叡山焼討 本能寺 中国大返し 清須会議 全6幕 |
菊五郎 梅 玉 時 蔵 左團次 吉右衛門 又五郎 松緑 菊之助 松 江 |
綽名はサル、戦国乱世を駆け抜けた天下人の愛と野望。 信長に新参者として仕えている藤吉郎は、城攻めの槍の手配で采配をふるい信長に認められる。寧子との結婚、3日普請、竹中半兵衛説得など数々の功により秀吉と名乗るようになる。 本能寺の変の知らせで、中国大返しし光秀を討ち、清須会議を経て天下人となる姿を活き活きと描いている。 時間の関係で、少し端折りすぎの感はあるが、個々のエピソードを感動的に舞台化している。 |
平成28年4月、四月大歌舞伎
歌舞伎座
演 目 | 役 者 | 観 劇 記 |
松寿操り三番叟 (まつのことぶきあやつりさんばそう) 長唄囃子連中 |
染五郎 松 也 |
後見が箱から三番叟の人形を取りだし、操りの糸をさばくと、三番叟が糸に合わせて軽やかに踊り始める。 途中、糸が切れたり縺れたりするが、無事最後まで五穀豊穣を祈り、舞い納める。 人形らしく軽快に踊る染五郎が見事でした。 |
宇野信夫作・演出 今井豊茂脚本 沖津浪闇不知火 不知火検校 (しらぬいけんぎょう) 浜町河岸より 横山町の往来まで |
幸四郎 染五郎 魁 春 錦之助 孝太郎 松 江 廣太郎 左團次 |
生れた時から眼が見えず、幼い時から按摩の修行をして、盲人の中でも最上位の階級に居る不知火検校の元に弟子入りし、忠実な弟子を装いながら、隠れて数々の悪事を働いている。 そして、仲間の手を借りながら、師匠を殺害し、二代目不知火検校の座につき、権力と大金を手に入れる。 留まることを知らない欲望、型破りに生きるまさに悪の華、これを演じた幸四郎は格好いいですね。 |
岡村柿紅作 新古演劇十種の内 身替座禅 (みがわりざぜん) 長唄囃子連中 常磐津連中 |
仁左衛門 又五郎 米 吉 児太郎 左團次 |
愛人がはるばる都にやってきたことを知った殿さまは、何とか会いたいと思うが、奥方が片時も傍を離れようとしない。 そこで、思案し邸内の持仏堂で、一晩座禅をする許しを奥方より得た後、座禅を家来に身替わりさせ、自分は愛人の元に出かけて行く。 しかし、このことが発覚して、怒りに震える奥方と身代わりとなった家来、そして帰ってきた殿さまは・・・ 可笑しみ溢れる傑作ですね。殿さま役の仁左衛門の恐妻家ぶりと、左團次の奥方はいい組み合わせですね。 |
平成28年7月/松竹新喜劇、爆笑七夕公演
新橋演舞場
演 目 | 役 者 | 観 劇 記 |
茂林寺文福 川浪ナミオ脚色 愛の設計図 一幕 |
藤山 扇治郎 渋谷 天外 高田 次郎 小島 慶四郎 大津 嶺子 久本 雅美 |
間文太郎は大学を卒業し一級建築士を目指して大崎工務店に勤めるが、あることからクビになりかけます。 見かねた現場監督の石原堅造が文太郎の窮地を救って建設現場で働かせるが、人情深く信望厚いと評判の石原がどういうわけか文太郎にだけ厳しくあたるその訳とは…。 良く練れた脚本で、ホロリとさせられます。 |
藤山寛美27回忌追善ご挨拶 |
渋谷 天外 高田 次郎 水谷 八重子 久本 雅美 藤山扇治郎 他一同 |
亡き藤山寛美の名場面の映像が映写され、その後に孫の藤山扇治郎他、幹部、OBの思い出話と挨拶があった。 |
一竜斎貞鵬口演 平戸敬二脚本 浪花の夢 宝の入船 二幕 |
藤山 扇治郎 渋谷 天外 高田 次郎 水谷 八重子 久本 雅美 小島 慶四郎 大津 嶺子 |
大坂で一旗揚げようと、近江の堅田から石工の源造が亡き親方が残した石灯籠を担いでやってくる。 運よく出会った大梅屋の女将お勝が、その石灯籠を買ってくれた、源造は店の若い者といざこざを起こし、店から投げ出されてしまう。 その時たまたま居合わせた備前屋太左衛門との出会いが思わぬ展開に…。 これは、傑作ですね。扇治郎の熱演もあり、最後まで楽しめます。 |
平成28年8月、八月納涼歌舞伎
歌舞伎座
演 目 | 役 者 | 観 劇 記 |
十辺舎一九原作 戸部和久脚本 市川猿之助演出 東海道中膝栗毛 (とうかいどうちゅうひざくりげ) 弥次郎、喜多八 宙乗り 一幕 |
染五郎 猿之助 獅 童 笑也 高麗蔵 右 近 |
弥次郎兵衛と喜多八は、まともに働きもせず、毎日好き放題に自堕落な生活をしていたが、賭け事に負けが続き、金もなく途方に暮れていた。 そこへ伊勢参りをすれば何でも願いがかなうという話を耳にして、すべてから逃げるように伊勢参りへと旅立つ。 が、その道中でも持ち金の殆どを失い、二人が新たに向かった先は・・・・ 面白い設定ですね。東海道だけではおさまらない奇想天外な珍道中も楽しめますが、宙乗りも魅せます。 |
藤山寛美27回忌追善艶紅曙接拙 (いろもみじつぎきのふつつか) 紅かん |
橋之助 勘九郎 七之助 彌十郎 扇 雀 |
富士山の山開きで賑わう江戸の浅草。角兵獅子、朝顔売り、団扇売り、虫売り、面白い三味線弾き・・・ 夏に涼しさを売る江戸商人の様々な姿を披露する風俗舞踊となっています。 |
新橋演舞場
演 目 | 役 者 | 観 劇 記 |
川口松太郎作 成瀬芳一補綴・演出振袖纏 (ふりそでまとい) 一幕 |
尾上 松也 瀬戸 摩純 立松 昭二 伊藤 みどり 市川 春猿 市川 猿弥 |
駒形の大店の跡取り息子は、鳶職に憧れ、ち組の頭の世話になって、火消しの華と言われる纏持ちを任されるようになる。 頭の娘とも相思相愛となり子供まで授かるが、大切な跡取り息子を取り戻したい大店の番頭は、主人の意を汲んで、生まれてくる赤ん坊を・・・ 実在の纏持ちをモデルにした人情味あふれる作品となっている。 ラストの火事場の舞台は迫力があり盛り上がりました。 |
二代目喜多村緑郎襲名披露 口上 |
市川月乃助改め 喜多村 緑郎 水谷八重子 他幹部一同 |
幹部一同とともに、市川月乃助改め喜多村緑郎の襲名披露口上。 先代の喜多村緑郎は、昭和30年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、文化功労者に選ばれている。 先代を越える大役者を期待して万雷の拍手であった。 |
北條秀司作 大場正昭演出 深川年増 (ふかがわとしま) |
染五郎 猿之助 獅 童 笑也 高麗蔵 右 近 |
明治20年、木挽町に歌舞伎座が出来、歌舞伎に改良芝居が始まり、役者の品行にも目が光るようになってきた。 そんな中、やむなく下回りの役者は、女房に内緒で囲っている妾と別れることにして手切れ金を渡す。 ところが、その妾が大金持ちに成りすまし、役者の婿入り先の家へ乗り込んで来る・・・ 何とも軽妙な傑作喜劇となっている。 |
平成28年11月
八代目中村芝翫他襲名披露
吉例顔見世大歌舞伎
歌舞伎座
演 目 | 役 者 | 観 劇 記 |
川口松太郎作 成瀬芳一補綴・演出四季三番草 (しきさんばそう) 清元連中 囃子連中 |
梅 玉 扇 雀 鴈治郎 |
翁、千歳が四季折々の花を読み込みながら連舞、そして三番叟が鈴を鳴らしながら五穀豊穣を祈り拍子を取りながら軽快に踊る。 清元の軽やかな名曲に乗せた祝儀舞踊。襲名披露の舞台に相応しい舞踊であった。 |
歌舞伎十八番の内 毛抜 (けぬき) 一幕 |
芝 翫 松 也 梅 枝 高麗蔵 彌十郎 |
小野春道の屋敷で、家宝である小野小町の短冊が盗まれた上、輿入れまじかの姫が奇病に罹ってしまう。 輿入れが遅れている姫の様子伺いに来た嫁ぎ先の家臣は、姫の髪の毛が逆立つ奇病を見て驚くが、毛抜きが一人で踊りだしたことから奇病の仕掛けを見破る。 奇抜な趣向が楽しい、味わい深い舞台となっている。 |
河竹黙阿弥原作 今井豊茂脚本 祝勢揃壽連獅子 (せいぞろいことぶきれんじし) 長唄囃子連中 |
橋之助改め 芝 翫 国生改め 橋之助 宗生改め 福之助 宜生改め 歌之助 仁左衛門 藤十郎 |
今回襲名披露した親子4人で演じる連獅子。 4人の狂言師が手獅子を携え、親が仔を千尋の谷に蹴落とし、自力で這い上がってきた仔だけを助けるという文殊菩薩の霊獣の故事を踊って見せる。 その後、親獅子と仔獅子の精が現れ、豪放な狂いを見せ、勇壮な毛振りで舞い納める。 親獅子と仔獅子を演じた親子4人の力演であった。 |
河竹黙阿弥作 盲長屋梅加賀鳶 加賀鳶 (かがとび) 長唄囃子連中 |
幸四郎 秀太郎 染五郎 松 也 左團次 梅 玉 |
本郷界隈の人は、大名火消しの加賀鳶と、旗本配下の定火消しとの喧嘩を恐れて木戸を締めきってしまう。 そこへ、鳶頭を始め若い加賀鳶たちが勢揃いし一触即発の状態となる。 粋な鳶と小悪党のやり取りを鮮やかに描く人気作です。 河竹黙阿弥が江戸の市井に生きる人々を巧みに描く世話物の名作です。 |
平成28年12月
舟木一夫特別公演
新橋演舞場
演 目 | 役 者 | 観 劇 記 |
斎藤雅文作 金子良次演出 「華の天保六花撰」 どうせ散るなら 清元連中 囃子連中 |
舟木一夫 笹野高史 里見浩太朗 丹羽貞二 瀬戸摩純 冨田恵子 |
11代将軍家斉の治世。江戸で大いに出世したと大嘘をついてしまい、それを聞いた母親が故郷から出てくる。 困り果て、家斉の相談役の別邸に勝手に潜り込み、そこを屋敷として、母親を歓待する・・・ 講談「天保六花撰」でお馴染みの金子市之丞、河内山宗俊らが江戸の世を生き生きと駆け抜ける様を活写している。 この後、第二部では恒例の舟木一夫のシアターコンサートがあった。懐かしい名曲、ヒット曲を中心にしたステージであった。 |
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