歌 舞 伎
- 観 劇 記 -

平成31年、令和1年


1月
:「日本橋」
2月:「義経千本桜、すし屋」、「暗闇の丑松」、「団子売」
5月:「寿曽我対面」、勧進帳」、「神明恵和合取組」
7月:「笑う門には福来たる/女興行師・吉本せい」
8月「伽羅先代萩」、「闇梅百物語」
9月[極付幡随院長兵衛」、「お祭り」、「伊賀越道中双六、沼津」
10月:「廓三番叟」、御摂勧進帳」、「蜘絲梓弦」、「江戸お祭佐七」
12月:「たぬき」、「保名」、「壇浦兜軍記 阿古屋」




平成31年1月

初春花形新派公演
三越劇場
[

演 目 役 者 観 劇 記


泉鏡花作
齋藤雅文演出
日本橋
(にほんばし)

   
   四幕




 高橋 惠子

 喜多村 祿郎

 河合 雪之丞

 勝野 洋

 田口 守


 


  大正の初め、一人の医学士を巡る日本橋の指折りの2人の名妓とそれを取り巻く人々が織りなす人間模様。
  泉鏡花が大正3年に発表し、自らも戯曲化した作品で、新派の代表作の一つなっている。
  後半から大団円に向かっての展開は見応えがある。




平成31年2月

二月大歌舞伎
歌舞伎座

演 目 役 者 観 劇 記


義経千本桜、すし屋
(よしつねせんぼんさくらすしや)

   
   一幕




 松 緑

 菊之助

 梅 枝

 團 蔵

 芝 翫


 


  大和国下市村の主人は、旧恩ある平重盛の子維盛を奉公人として匿っていたが、勘当した惣領息子がやってきて、褒美欲しさに維盛の首とその妻子を頼朝の家臣・梶原景時に差し出してしまうが、その真相は・・・。
  初世尾上辰之介33回忌追善の義太夫狂言の名作です。



長谷川伸作
暗闇の丑松
(くらやみのうしまつ)

   
   三幕




 菊五郎

 時 蔵

 檀 蔵

 左團次

 東 蔵


 


  料理人の丑松には、お米という互いに約束した女がいたがその母親より妾奉公に出されそうになる。
  それを知った丑松は・・・。哀しい運命に翻弄される男女の生き様を描き出した、新歌舞伎の傑作です。




団子売
(だんごうり)


  竹本連中

      


 芝 翫

 孝太郎


 


  歌舞伎座「団子売り」団子売りの夫婦が餅屋台を担いで賑わう街にやってきて、曲に合わせて餅をつき軽快な踊りを見せます。
  江戸庶民に親しまれた名物「景勝団子」を売り歩く様を描いた賑やかな舞踊です。



令和1年5月

團菊祭五月大歌舞伎
歌舞伎座

演 目 役 者 観 劇 記


寿曽我対面
(ことぶきさおがたいめん)

   
   一幕




 松 緑

 梅 枝

 萬太郎

 亀 蔵

 松 江


 


  工藤祐経の館、富士の牧狩りの総奉行に任じられた工藤が祝宴を催している所へ、父の仇を目論む曽我十郎と五郎の兄弟が対面を願い出る場。

  江戸歌舞伎の色彩美溢れる舞台となっている。



歌舞伎18番の内
勧進帳
(かんじんちょう)

   
   三幕




 海老蔵

 菊之助

 右團次

 市 蔵

 松 緑


 


  歌舞伎座、「勧進帳」、加賀国安宅の関で、奥州平泉を目指す義経一行は、関守富樫の詮議を受ける歌舞伎18番の名場面。
 
  海老蔵の弁慶、見応えがあります。





神明恵和合取組
(かみのめぐみわごうのとりくみ)

 め組の喧嘩

 品川島崎楼より神明末社裏まで

  四幕八場

      


 菊五郎

 時 蔵

 雀右衛門

 菊之助

 亀 蔵

 左團次




  
め組の鳶と力士間の芝神明での争い、粋な江戸風俗を巧みに取り入れた世話物狂言の傑作。




令和1年7月
新橋演舞場

演 目 役 者 観 劇 記


矢野誠一原作
佐々木渚脚本

笑う門には福来たる

女興行師 吉本せい


演出 
  浅香 哲哉

三幕




 藤山 直美

 喜多村 祿郎

 林 与一

 田村 亮

 仁支川 峯子

 石倉 三郎


 


  笑いの王国「吉本」の創始者・吉本せいの波乱万丈の人生。
  大阪船場で三代続く荒物問屋に嫁いだ米穀商の娘・せいは、芸人や寄席に夢中な夫に代わり、赤子を抱え店を切り盛りしていたが、夫が芸人を集めて興行師の真似事を始め、店は一気に傾いてしまう。
  せいは伯父たちの最後の援助を元手に、夫の好きなことで商いをすることを決意し興行師となるが・・・
  一時代を築いた芸人たちや華々しい演芸史の変遷を交え、興行界で成功を収めた実在の女性の強さや悲しさを笑いと涙を交え描いている。



成31年8月

八月納涼歌舞伎

歌舞伎座

演 目 役 者 観 劇 記


伽羅先代萩
(めいぼくせんだいはぎ)

 御殿
 床下

 一幕二場




 七之助

 幸四郎

 児太郎

 勘太郎

 巳之助

 扇雀


 


  御家横領を企む執権から、幼君を守るための乳母の苦衷。
  幼君の毒見をしていた息子が、御前の持参した菓子を口にすると、畏れていた毒により苦しみだす・・・
  江戸時代に起こった大名家のお家騒動(伊達騒動)を題材とした時代物の大作。




闇梅百物語
(やみうめひゃくものがたり)

 常磐津連中
 長唄連中




 幸四郎

 歌昇

 新悟

 彌十郎

 扇雀





  夏の夜、大名家の邸で、女中たちが百物語の遊びに興じていると、明かりが消え暗くなる。
  怪しげな雰囲気が漂い、狸やカッパ、雪女郎、骸骨等が現れては消えていく。
  化け物たちが次から次へと登場する、変化に富んだユーモラスな一幕。




令和1年9月
秀山祭九月大歌舞伎

歌舞伎座

演 目 役 者 観 劇 記


極付幡随院長兵衛
(きわめつけばんずいいんちょうべえ)

 「公平法問諍」


 三幕




 幸四郎

 松 緑

 松 江

 亀 蔵

 雀右衛門


 


  大勢の客で賑わう江戸村山座。舞台に乱入した男を、江戸随一の侠客・幡随院長兵衛が追い払う。
  その様子を見ていた旗本の水野十郎左衛門が長兵衛を呼び止め、一触即発の事態となるが・・・
  江戸の男伊達、長兵衛の生き様を描いた名作。




お祭り
(おまつり)

 清元連中




 梅 玉

 梅 枝

 魁 春




  江戸っ子が集う山王祭。年に一度の大祭に江戸の町は浮足立っているなか、鳶頭と芸者がほろ酔い気分で賑やかに舞い踊る。
  江戸の大祭を舞台に、派手でいなせな鳶頭と、晴れ姿の芸者が祭りを楽しむ様子の舞踊。




伊賀越道中双六

沼津
(ぬまづ)

 一幕




 吉右衛門

 雀右衛門

 錦之助

 歌 昇

 歌 六




  東海道を旅する呉服屋十兵衛は、沼津の外れで年老いた雲助の平作と出会い、その家に立ち寄る。
  そこで驚くべき事実に気付く十兵衛は・・
  時代物の名作、親子の情愛や心の機微が細やかに描かれ、繰り返し上演される名作です。


令和1年10月
芸術祭十月大歌舞伎

歌舞伎座

演 目 役 者 観 劇 記


廓三番叟
(くるわさんばそう)


 長唄囃子連中




 扇 雀

 巳之助

 梅 枝




  洒落た趣向の華やかな祝祭舞踊す。本来は天下泰平や五穀豊穣を祈念する舞を、廓の情趣に仕立て直した、華やかで賑々しい舞踊となっている。




御摂勧進帳
(ごひいきかんじんちょう)

 加賀国安宅の関の場

 1幕



 松 緑

 彦三郎

 亀 蔵

 松 也

 愛之助




  お馴染みの加賀安宅関の場。荒事の豪快さに満ちたもう一つの勧進帳。「芋洗い勧進帳」とも呼ばれている奇想天外な展開となっている。




蜘蛛絲梓弦
(くものいとあずさのゆみはり)

 一幕




 愛之助

 松 也

 右 近

 右團次




  源頼光が病に伏せ、家臣の碓井貞光と坂田金時が警護を行っているとこに・・・、千筋の糸を操る迫力ある立ち廻りは見応えがある。愛之助の早替わり五変化は見事であった。




江戸育お祭佐七
(えどそだちおまつりさしち)

 二幕五場




 菊五郎

 時 蔵

 團 蔵

 亀 蔵
  
 左團次





  神田祭の祭礼を背景にいなせな鳶と小粋な芸者が織りなす恋模様、江戸の情緒漂う世話狂言の名作。





令和1年12月
十二月大歌舞伎

歌舞伎座

演 目 役 者 観 劇 記


大佛次郎作
たぬき


 二幕四場




 中 車

 児太朗

 彦三郎

 門之助




  深川の火葬場で、放蕩三昧の末に急死し葬式が行われるが、何と日が暮れたころ息を吹き返す。
  肩身の狭い婿養子の身、これ幸いに自分は死んだことにして生きようとするが・・・
  人間の心の表と裏を描いたユーモア溢れる人情喜劇。傑作です。





保名
(やすな)

 清元連中




 玉三郎




  恋人の面影を追い、野辺を彷徨い歩く、正気を失った保名(玉三郎)。
  清元の名曲に乗せての舞踊です




壇浦兜軍記
(だんのうらかぶとぐんき)
  阿古屋

 一幕




 梅 枝

 九團次

 彦三郎




  平家滅亡後、平家の武将の行方へを詮議するため、問注所に引き出された武将の愛人、嘘をついているなら音色が乱れるはずと拷問の代わりに、琴、三味線、胡弓の演奏を命じられる。
  何時もは玉三郎ですが、今回は梅枝が見事に演じ切りました。



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